PiPi's World 投稿小説

香港国際学園
官能リレー小説 - 学園物

の最初へ
 163
 165
の最後へ

香港国際学園 165

「このバカ平っ!」
頭痛を押して平を怒鳴れば、平は怯えた小動物のように紫穂にすがっている。そんな平に紫穂は子供を宥めるように優しく頭を撫でていた。
出雲は続いて出そうなため息を噛み締めた。
「あのなぁ。オレ達がここに来たのは…」
出雲が言いかけて首を傾げる。なぜか理由が思い出せないでいるのだ。何度か首を傾げたが諦め
「まぁ…いいや。お茶を下さい…」
自分を落ち着ける為にもと紫穂に頭を下げ、傍らに腰をどっかとおろせば、かすかに頬を染めた真奈美がお茶をお盆に乗せてやってくる。
「ありがとう。……ふぅ〜」
湯呑みに口をつけ、喉を通る茶の心地よさ、風味に目を細める。よい風が吹き、出雲は心が洗われていく清らかな感覚を味わう。
「なかなかいい茶葉を使ってますね」
「あら、お分かり頂けますか?」
出雲がお菓子を口に運ぶ頃には、自分達が何故ここに来たのか、任務も忘れてしまっていた。ただ、この安穏とした心地よい時間が昔から続いていたような、これからも続いていくような感覚に浸っていた。
そして、刀機と主姫とみことは、社務所に近づいていた。
「ぼちぼち・・・この姿に戻っておかないとね・・・」
青年の姿になるみことを2人は奇異な目で見るが、あえて何も言わない。
みことは2人の視線を気にする様子も無く、社務所の玄関に立って声を発する。
「帰ってきたよぉーっ!・・・」
まるで自分の家のような気安さで上がるみこと。
奥から出てきた真奈美が、げぇっ!と小さく声を発し驚いたのに対して、紫穂はみことの前に正座すると、三つ指をついて頭を下げる。
「お帰りなさいませ・・・」


遡る事僅か、刀機達出発直後の生徒会室。
「・・・一つ聞きたいことがあるんだけどよ。」
「何ですか?橘君。」
「何で公主は俺たちと組もうなんて考えたんだ?隷属か服従の何れかしか認めないはずだろ?」
「そ、それは・・・。」
言葉につまる暗路。
「それは僕がお答えしましょう。」
「貴様は・・・!」

「・・・誰だ?」
一斉にコケる一同。そして、彼の人物はズレた眼鏡を直しながら、
「・・・お約束のボケをありがとう。お陰で大物風登場シーンが台無しだ。」
と皮肉たっぷりに言った。
「冗談だよ、じょ〜だん。忘れてる訳ないだろ?確かぁ、名前は・・・」
「・・・霧島光一君。」
美咲が小声でつっこむ。
「そうそう、霧島光一。確かにアンタの力なら公主に言うこと聞かせられそうだな。」
「人聞きが悪いな。僕は君みたいな野蛮人とは違うんだ。ちゃんと話し合いで決めたよ。」
「けっ・・・どうだかな・・・」
「・・・一応、そういうこと。納得してくれた?」
「あ、はい。ありがとうございました。」
美咲がペコリと頭を下げる。
「よろしい。んじゃ、僕もあんまり暇じゃないんでこれで・・・」

SNSでこの小説を紹介

学園物の他のリレー小説

こちらから小説を探す