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香港国際学園
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園 164

「『数』でおしてくる相手に対して『個』で相対していたらいずれ疲弊して隙を突かれる、兵法の基本ッスよ?刀機っち」
刀機と出雲の戦いを見ていたみことが言った
「そんなことは分かっている」
「分かってないねぇ、過去はどうあれ『今』の君は一人じゃあないっしょ〜」
主姫が静かに刀機を見る。
無表情で、何時もの深い奈落の底のような漆黒の目で・・・
「刀機が望まない以上・・・わたくしも手を貸しませんわ・・・」
そして、こちらも頑固に言い放つ主姫。
だが・・・主姫を見つめ返した刀機は、ゆっくりと口を開いたのだ。
「手を・・・貸してくれ・・・」
無表情だった主姫が、若干驚く。しかし、すぐに笑顔を見せるとこう言ったのだ。
「ええ、喜んで力を貸しますわ・・・」
そして、主姫も・・・このチェス盤に参戦を果たしたのだった。

「うん。不利ですね。困った」
出雲は誰かに言うでもなく呟く。
「別に卑怯な事した訳でもないんですがね。能力者同士の一騎打ちですよ?私は私の能力を、陸軍刀機は自身の能力を使って闘ったと。
しかもこれはミネルヴァの問題だから、部外者の介入は避けて欲しかったのですが…仕方ないですね。これ以上部外者の介入があるようなら」とここまで出雲は一気に喋り、だは〜っ、とため息チックに息を吐いた。
「部外者の介入があるなら、どうするんですの?」
主姫が聞くと、
「もちろん退却です。逃げます」
と、出雲は言った瞬間に反転。そして走り出した。
これ以上部外者の介入があったのかどうかは、出雲のみの判断らしい。「ったく、こう言うときに颯爽と出てくんのが男ってもんだぞ!バカ平が!」
そう叫びつつ、出雲は社務所に向かって走る。
今頃、暢気に茶菓子でも食らってるであろう、戦友であり、仕事仲間の元へ。
社務所に着いた出雲は思わず脱力してしまう。
社務所の居間には、寝っ転がり、紫穂に膝枕してもらい幸せそうな表情で耳掃除をしてもらっている平がいたのだ。
その様子は、母親に甘える子供そのものである。隣では不機嫌そうにその様子を見る真奈美がいる。
「出雲・・・俺っ、もう戦わないぜっ!・・・紫穂さんと約束したんだっ!」
「平・・・お前・・・」
出雲を見ると起き上がり、子供のように目を輝かして言う平・・・出雲は額を抑えながらその場に座り込んでしまう。
「あらっ?・・・出雲さんでしたか・・・お上がりになって、お茶とお菓子でもどうですか?」
にこやかに出雲に言う紫穂を見ながら、出雲はさらに頭痛が増したような気がしてきた。

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