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痴女の世界
官能リレー小説 - 痴漢/痴女

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痴女の世界 5

「いいのよ。私も隠していることがあるもの。これから、例の温泉でゆっくりしよう。」
「でも、情報漏れてるんだろ?」
「ばーか。あれは別の端末だよ。現に女しか欲情しないはずなのに男のお前が反応しただろ。」
「え?」
「あのデータの端末はすでに囮として使ってんだよ。だから、あの温泉にいくのは私の謀略。」
やっぱり、いたずらな子供のような口調で夏帆姉はそういった。
そのあと、真剣な口調で
「本当はあんたと血はつながってないんだ。もうあんたは覚えてないだろうけどね。あんたは、父親の連れ子。私たちは母親の連れ子なの。」
「これはあのデータのせいじゃない。私の気持ち。ねえ。私たち結ばれないかな。死ぬかもしれない。こんなときだからこその正直な私の気持ち。」

「夏帆姉の…ばか。そんなこと言われたら断れないよ。もっとも断る気もないけど。」
俺は夏帆姉の汗臭い腰にしがみつきながら答えた。

実家からバイクで2時間半。電車や航空、高速道路といった、高速手段から外れたところに亀柱温泉はある。
姉の説明だと、典型的な過疎地の立地にある温泉にはなるのだが、先に説明したように、多くの温泉地特有の風俗に漏れず、風俗町としての一面がある。
 一方では別の一面もある。それは時の権力者や政治家の一時避難場所として提供されていたという歴史もあり、古来に贅をつくしたであろう歴史的な建造物が多く立ち並んでいる。一方で敵の侵略を考慮した石垣、垣根、物見やぐらなども各所に点在しており、山城のような印象さえ受ける。
 
「とりあえず、少しすっきりとしようか?」
バイクを降りて夏帆姉がそういった。
気づいてみると夏の暑さと緊張で二人が密着していた部分がぐっしょりと濡れていた。
周りを整備された人工林に囲まれ、いつの間にかセミの鳴きだす時間になっていた。
街はずれに「子猫座」と書かれたプレハブ小屋があった。
昭和時代の年代物であろうその小屋は、先ほど通ってきた歴史的な建造物にはやや違和感を感じるがよく考えてみると、庶民的であり、お金のない学生が入るとしては少し安心できるような安っぽさがあった。
「懐かしいなここ。」
夏帆姉がそういった。
俺には記憶がなかった。無論この温泉自体初めてくる印象なのだ。
「ここ知ってるの?」
俺は尋ねた。
「うん。昔ここで働いていたことがあったからね。」
「俺しらないよ?そんなこと夏帆姉との記憶にないもの。」
「そうね。あんたはあの時にすべての記憶がなくなったから。それでよかったのよ。それに私もあの時のことは忘れてほしいと思う。」
夏帆姉は寂しそうにうつむいた。
その時にはっと気づいた。

ボクニハ幼児期ノキオクガホトンドナイ。
ふいに夏帆姉の表情が真剣になる。
「でもね。あなたは、自分であの箱を開けてしまった。もう、目と耳と口をふさぐことは許されない。私はすべてをあなたに話す。まずはここから始めるわ。」
そういうと俺のほうに振り返らないまま、カラリとその小屋の扉を開けた白い湯気が小屋の中から登ってきた。
中は暗い。今時珍しい裸電球のオレンジの光が窓のない小屋の内部をぼんやりと照らしているだけである




「ごめん。私を抱きしめて。まだ私ここに入るのは怖い。」
そういって俺の手を握った
俺はふと夏帆姉の腕をみた。
震えている。
俺は夏帆姉を強く抱きしめた。夏帆姉の臭いに僕の嗅覚は支配された。
「お願い。少し勇気がほしい。」
夏帆姉は顔をあげて俺を見た
そのまなざしが要求していることはすぐに分かった。
俺はゆっくりと彼女の唇に自分の顔を近づけた。

これが俺にとって初めてのキスだった。
彼女の暖かさが口に伝わった。
彼女の息を吸い込む。
震える体を強く抱きしめた。
少しずつ体が火照っていくのが分かる。
真夏の暑さのなか、燃えるようなその体の火照りがとても心地よく感じた。
セミが鳴いている。
不思議とうるさいという感覚はなかった。
どこまでも響きわたるセミの音が僕たち二人の世界を包み込んだ。

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