痴漢電車 10
瑛美はそう考えた。
今なら助かるかもしれないと。
パトカーは、明らかに異常なカップルを変に感じたのだろう。
そしてパトカーを見てびくびくする痴漢である。
車の中から警官服を着た男性が出てきた。
「ちょっと、そこの二人いいかな?話を聞かせてもらっても」
痴漢が私の腕を強くつかんで小さい声でつぶやいた。
(ママンは僕を見捨てたりしないよね?もし、見捨てたら今度はママンのお友達にひどいことをするよ。)
瑛美(えっ、まさか、、結香に、、痴漢をする気なの、、、)
瑛美はその言葉に頷くしかなかった。
警官「そっちの男と君はどういう関係なのかな?」
瑛美「あっ、、あの、、兄です、、昔から仲良いので、、」
痴漢「そ、そうそう、、だよな〜瑛美」
警官「ほう。でも、今日は平日だよ。学校はどうしたのかな?」
瑛美「か、カゼを引いたみたいだから、今日だけ休むことにしました。」
警官「ふむ、では学校に確認してみよう。。」
瑛美「えっ!、あの、それは・・・」
痴漢「な、何電話なんか出して、、ちょっ、、」
警官は瑛美の制服から学校が分かったのか、いきなり電話をかけ始めた。
警官「ええ。今日、無断欠席している生徒がいたりは・・ふむ、名前は・・・なるほどね。ちなみに兄弟などは・・・ほう。いや、ご協力感謝します」
警官は電話をしまうと二人を見た。
警官「そっちの男。君さっき、その子を瑛美って呼んでたよね。瑛美ちゃんは今日は無断欠席扱いで、なおかつ、、兄弟はいないそうだが・・・」
キラリと光る警官の目。