性に目覚めて 1
俺は今、満員電車にいる。
目の前にセーラー服が捲れ上がってブラジャーが丸見えになっているが、満員電車でセーラー服を直せず恥ずかしそうにしている女子高生がいる。
俺は彼女が大好きなので彼女の胸を揉もうとしていた。
伸びる手を止まらしたのは、ドア上の液晶画面に流れる文字だった。
痴漢行為の刑罰・・・
刑法第176条強制わいせつ罪・・・6ヶ月以上7年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金・・・
(・・・・できる訳ないか・・・)
俺は行き場を失った手の平を、ぐっと握りしめた。
こんなことで自分の一生を棒に振るのは、あまりにも馬鹿気たことに思えた。
一時の欲求を叶えるためだけにしては、その代償はあまりにも大きいと思えた。
俺は何も無かったように、液晶ディスプレーをじっと見つめ、昂りかかった股間をそっと鞄で隠した。
俺はぐっと我慢したまま学校の近くの駅に着いて、俺は電車を降りた。
「ちょっと君・・・」と、突然に肩を叩かれた時、俺は彼女が道を訊ねるのか、それとも自分が何か落とし物でもしたのかと思った。
振り返った俺の顔はきっと、間抜けな表情をしていたと思う。
何しろ、鼻の前に人参をぶら下げられた馬状態で、大好きな女の子のブラジャーを、ただ見つめていたのだから・・
「は、はい?・・何か?・・」
俺は命一杯に無愛想に答えた。
確かに彼女は美人だった。細身の割りに胸は豊かで、それは俺の好みではあったけれど、上から俺を見下すかのような物言いは気にくわなかった。