俺が魔王? 7
どの道、女を魔族に転生させるには俺の細胞を埋め込むか俺が妊娠させるか、「デモン・リインカネーション」を使うかだ。俺の細胞を出さないといけないからにはそう滅多矢鱈な速さで出来るわけじゃない。
だが女を転生させられるのが俺だけだからか、不満げな奴もいるがとりあえず皆大人しく聞いている。
「それだけ俺たちの置かれた状況は厳しいということだ。以上判ったか?」
場内は静まりかえり、連中は頷いた。
それから一人の元老院議員が手を挙げた。
「恐れながら、先に提案した襲撃計画を実施なさるのでしょうか?」
リュストフだ。三か所のレニレ教修道院を襲う計画を出した奴。
「手始めとしてはあれがいいと思う。同時に敵の兵糧を襲う部隊も編制しよう。皆異存はないか?」
今度は反対者は出なかった。
よし、これで女が抱ける。
会議は終わり、俺はジジイを連れて一度自分の部屋に戻った。そのジジイは女を連れに一度部屋を出た。
「おっせーな…」
「魔王様」
ドアの向こうから複数の者の気配がする。やっと来たか。
「入れ」
ドアが開き女が入ってくる。ジジイがその後ろについてくる。
濃茶色のセミロングヘアの女だ。首には細い首輪を付けていて、その中心で宝石が1つほんのりと碧い魔力光を放っている。
青のナイトドレスを身に着けている。
俺はうつむいて入ってきた女に声をかける。
「名前は?」
俺が呼びかけると彼女はギラリと睨んできた。瞳の色も神と同じ濃茶色だ。
瞳に敵意を宿して女は口を開く。
ひゅう、怖い怖い。
「貴様が親玉か」
「これ!ここにおわすは我らが魔王陛下にあらせられるぞ!
人間の身でそのように横柄な口を聞くでない!」
ジジイが彼女に叱りつける。
「ふん、まあいい。俺がその魔王だよ。名前くらい答えられるだろう?」
「くっ…アビゲイル・アヴリル・アームストロングよ」
頭文字を繋ぐとAAAか…何かの規格の名前のようだなと場違いな事を思ったが、憎々し気に名乗る彼女の顔は、結構俺の好みの、眼は大きくて、すっきりまとまったやや丸みのある美人さんだ。
年のころは二十歳過ぎくらい。敵意を向けていなければ、例えば仕事の昼休みに友達と談笑してたら普通にいい女なんだろうな。
「まだこの通り、敵意を抱いておりますゆえ、この首輪をさせております。例の呪文一つでこの首輪が彼女の頸椎を打ち抜きますゆえ、もし陛下を害しようとするならお使いくだされ」
ジルバが説明してくれた通り、あの首輪はシンプルだが、彼女が何か叛逆したら即死させる奴隷用の首輪だ。
できるだけ凄味が出るように、意識しながら低い声で、強要する意思を強く持って、告げる。
「ジルバが言った通り、逆らえば即死だ。ここで俺の女になって魔族としても女としても幸せになるか、無残に死んで血肉を魔族の食料とされるか、好きな方を選べ」
すると、アビゲイルの顔にさっと恐れが走った。だが、すぐにそれを消そうとする。
でも、表面上は落ち着いたように見えたが、瞳からは恐れを隠しきれていないのがわかる。
「さあ、どうする?」
「わかっておろうな?魔王陛下の物にならぬなら、そなたの郷里や家族もどうなるのか……?それとも、そなたの妹をこの場に連れてきても良いのだぞ」
ジルバがさらに脅し文句をつけ足した。いう事聞かせるための人質用意したようだな。
「…………わかったわよ!私を抱くなら抱きなさいよ!」
「いい答えだ。では、近う寄れ」
「偉そうに…」
小声で文句を言いつつも、アビゲイルが俺の元へやってきた。
「大人しく抱かれるなら、優しくしてやる」
俺はアビゲイルを抱き寄せ、彼女の顔を俺に向けさせる。
かなり警戒しているのは変わらないようだが、覚悟は決めたようだ。
俺は、彼女の唇を奪う。
「んっ…」
ぷりっとした唇が、結構いい感じだ。