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俺が魔王?
官能リレー小説 - アブノーマル

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俺が魔王? 2

ジジイ煩いよ、誰が魔王だ知ったことか。
「いや、興味無いんで、じゃ俺帰るから。
 おっ、腹の穴が塞がってるじゃん。
 魔王の魔力のおかげか、これ」
「待ってくだされ!あなたは魔王様なんですぞ!
 我々魔族を、復興して貰わなくては困ります!」
「そんなの知らないから、あんた一人で勝手にやってくれよ」
全くしつこいジジイだ。
俺は手を振ると、記憶を辿りに今の家に向かって歩き出す。
うーん、魔王の魔力か…
ようやく転生した価値が出て来たな。
さてと何するかな。
「待ってくだされ!魔王様!」
まだついて来るのかよ。
「いい加減しつこいぞ!
 俺は忙しいんだ!」
「……本当ですかな?」
「な、なんだよ」
「どうせ家に帰っても、女っ気もなく農作業の日々ではないのですか?」
ぐっ…確かに今、帰っても野菜の収穫が待ってるだけで、女友達も居なけりゃ、そもそも村に若い女が居ねーんだった。
何で廃村まっしぐらな村に産まれてしまったんだ…
「……魔王様をしてくだされば、女はいくらでも用意しますぞ」
「……!」
「ただの魔力を得た農民では用意出来ない贅沢も出来ますぞ」
「……魔王になれば女食い放題なのか?」
「はい、それはもちろん。
 減ってしまった同族を増やすためにも、毎晩でも抱いていただきます」
……どうする俺。
このまま帰るか、それとも魔王になるか……
……考える必要ないな。
「よし、魔王をやってやる」
「おお、やって貰えますか、では早速、新たな魔王城へ向かいましょう」
「よし、行こう!そして酒池肉林な生活だ。
 っと、その前に一応親父達に家出る事伝えとくか」
思い入れが薄くなっているが一応親だ。
一言言ってから出て行こう。
「あー、それはちょっと無理です」
「は?なんでだよ」
親に一言言ってく位いいだろジジイ。
「魔王様が生まれた村ですが、もう有りません」
「はい?」
「ですから、綺麗さっぱり消滅しました」
「何で?」
「新たな魔王城を作るのに邪魔だったので、私が消滅させました」
「……とりあえず、死んでくれジジイ」
よし、ジジイを殺そう。
親の仇だ、何の問題もない。
「おおお、お許しくだされ!
 よもやこの様な事態になるとは、予想しておりませんでしたので、申し訳ございません」
「あの世で親父達によろしくな」
魔力を手に集め魔力の玉を作る。
後はこれを撃ち出すだけで大抵の敵は死ぬ。
「私を今、手に掛けると女は用意できませんぞ!!」
「……」
「ご子息を沢山残す事が、一番の親孝行になる筈ですぞ!!」
「……チッ!命拾いしたなジジイ」
俺は魔力を霧散させる。
親に対しての情が薄くなってて助かったなジジイ。
親父達の死は悲しいが、どことなく他人の事の様に感じでしまう。
これは転生の影響なのかそれとも、魔王の力を植えられたせいなのか分からないけど…。
とりあえず死んだ親父達の為にも、孫をいっぱい作って遺伝子バラ撒いてやるぜ!
「行くぞ、案内しろ」
「御意…」
魔王の記憶を元に羽根を生やすと、俺はジジイと共に空へと飛び立つのだった。


「遅かったか!!探すんだ!生存者はいないのか!」
白く輝く鎧に身を包んだ、金髪の青年の美声が響く。だが廃墟と化した村にはその美しさ故により悲しく響く。
家屋ことごとくが叩き崩され、畑もあちこちが爆発の痕だろうか、月面のクレーターを思わせる大穴が開いている。

「我が国でこれほどの非道を働こうとは、おのれ魔族め!!」
ぎりぎり、と金髪の青年は馬上で歯も砕けよとばかりに強く噛みしめる。必死の形相で兵士たちが村の中を巡り、発見した遺体や、人であった何かを運び出している。
綺麗なまま残っている遺体などありはしない。上半身と下半身に分かたれているだけの遺体でもまだましなほうなのだ。
兵士たちが開けた場所に、そうした人であった何かを丁寧に並べている。男もいれば、女もいる。老人であろうしわがれた首もあれば、、子供のものであろう、ごく小さな手や足もある。いずれも血まみれだ。

中には耐えきれずに、地に手をついて青い顔で嘔吐している兵士もにいた。
兵士たちも、あまりの惨状に言葉も出ないようだ。ただ、黙々と遺体を収容している。
運ばれてくる亡骸を見ているうち、青年は自らも強烈な吐き気を催した。彼の見ていた遺体はどうやら妊婦らしく、腹が半ば裂けて赤ちゃんの首が出ていたのだ。
「殿下、どうかお気を確かに。」
青年の背後にいた、壮年の男が声をかける。彼も青年同様騎乗しており青年とよく似たデザインだがこちらは鉄色の鎧をまとっている。
「ああ、わかっている…」
背後の男に振り返った青年は青い顔で、片手で悪夢を振り払うようなしぐさをしながら告げた。


やがて、兵士たちが遺体の収容を終えた。小さな礼拝堂の廃墟があり、その背後にはここも爆発の痕のある墓地があった。兵士たちが穴を掘り、どの部分がどの者の体なのか判る範囲で仕分けて埋葬し、判らないものは大きな穴に埋葬した。

「敬礼!」
号令と共に兵士たちが墓に向かって敬礼する。青年らもだ。
そして青年は腰の剣を抜き放ち、天を衝いて叫んだ。
「せめて、安らかに眠ってくれ。何としてもこの仇は討つ!」
「おおーーっ!!」

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