幼馴染はアイドル 16
だが、その叫びすら勢司は鼻で笑う。
「お前、何か勘違いしてないか?・・・お前が必要とされてるのは・・・」
勢司はそう言い、真由美の手を掴んで引き寄せる。
予定外だが、まあいい。
いずれこうする予定だったが、もういいだろう・・・
そう考え、ニヤリと笑い言う。
「お前の存在価値は、その顔と身体だ・・・お前はセックスを覚えれば最高の女になる・・・」
ストレートな物言いと悪魔のような笑み。
真由美は本能的に勢司に恐怖を感じて震えた。
「いっ!、いやぁ!」
「お前がもう辞めると言うなら止めるぞ」
彼女がそれをできないのは分かっている。
なぜなら彼女は孤児だからだ。
真由美の両親は海外の難民などを支援するNPO法人の職員。
温かい家庭に育ち、その幸せは長く続くはずだった。
しかし…
両親は出張先から帰る途中、飛行機事故に巻き込まれ帰らぬ人に。
真由美、小学生のときのことである。
その後孤児の集まる施設で暮らしながら学校に通い、中学に上がったときに知り合ったのが唯一無二の親友・菊沢薫である。
もともとアイドルになることを夢見ていた薫に誘われ、平プロの門を一緒に叩くことになるのだ。
だが現実は厳しい。
抜群の歌唱力とキレのあるダンスを誇る薫に対し、真由美自身は特別何のスキルもなかったからだ。
それでもがんばれたのは薫の存在。
それと同じく、中学で知り合った優の存在だった。
公立中学の真由美と堀河学園に通っていた優に接点は無かった。
しかし、薫の隣の家が平野家であり、優と薫は幼馴染。
その縁で知り合ったのだが、実は真由美にとって優は一目惚れの初恋の人なのだ。
初対面で惚れてしまい、それ故に意地の悪い態度を取ってしまうと言うのが真相だったのだ。
故に彼女が薫と優と離れると言う選択肢は無いのだ。
それを知って勢司は真由美に言う。
「お前が実力を出せないのは、セックスをせずオナニーばっかりしてるからだ」
「ひぃっ?!!!!」
しっかりした性格の真由美だが、一番知られたくない恥部を勢司に突かれ動揺する。
小学生高学年で覚えたオナニー。
毎日暇さえあれば弄り回しているぐらいオナニーが生活習慣にまでなった真由美だが、それが勢司に見抜かれるとは思いもしなかったのだ。
無論、その事は共に生活する千早なんかは気づいていたし、勢司も千早から聞いていた訳だ。
だが、その経緯を知らない麻由美は図星を突かれて動揺するしか無い。
「せ、先生が、なんで…」
「俺はお前たちのことは一番よく知ってるつもりだぞ?もちろん、そっちの面でもな」
勢司はニヤリと笑う。
「お前に必要なのは『変わる』ことだ。何時迄も少女ではなく女に…自分の為、グループの為…優や薫の為にな」
勢司はそう言いながら少し考え、ニヤリと笑うと再び口を開いた。
「変わると言うより、お前の素顔をさらけ出せと言うべきだな・・・お前は誰よりも淫らだが、それは悪い事じゃない」
勢司の言葉に、真由美はただただショックを受けていた。
確かにエッチな妄想はするし、オナニーも頻繁だ。
とは言え、この年齢の性に興味ある女子としてはありがちであったし、もっと早熟な子なら既に男を作っている。
しかし、人生経験の無さ・・・
勢司の言葉に同様すると共に、自分が特別に淫らだと思うように錯覚してしまったのだ。
「ああ・・・先生、言わないでぇ・・・」
顔を赤くして涙目の真由美。
それを勢司は笑いながら、うって変わって優しい言葉で言う。
「淫らさはお前の武器になる・・・ダンスも歌も客を惹き付けるのは色気だ」
勢司は真由美を抱き寄せ耳元でこう囁いた。
「俺が淫らなお前を解放してやる」