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我が主よ!
官能リレー小説 - ラブコメ

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我が主よ! 3

ーーーキーンコーン、カーンコーン・・・ーーーキーンコーン、カーンコーン・・・

学校の昼休みは、多くの学生にとって束の間の休息の時間だが、何事にも例外というものは存在する。
「どうぞお食べ下さい章様!わたくしお料理も得意ですの!」
そう言って文は弁当箱から、タコさんウインナーを箸で摘み章の口元に運ぶ。
「やめろ文!どうせお前の事だから毒でも入っているのであろう!」
「アラっ失礼ですわね剣さん!毒なんか入ってませんわ!ご自分がお料理出来ないからって言い掛かりは止して下さいません?」
「黙れ!誰がお前など信用出来るか!」
全寮制私立校・大倭(やまと)学園高等部に通う飛龍 章の下に三人の美少女が押しかけて来て半月。
今では周囲も事在る毎に勃発する二人の争いにも慣れてきた。
「若。売店で握り飯を買って参りました」
「うん・・・ありがとう忍さん・・・」
セーラー服姿の忍に礼を言うと、章はビニールの包みを剥ぎ取りオニギリにパクつく。
「あっ!ズルイです忍さん!」
「くっ、また抜け駆けされたか・・・」
「私はただ若のご命令に従っただけです。文句が有るなら若に言いなさい」
仲間達の非難の声にも、クールなくの一の表情は小揺るぎもしない。
「もう!酷いです章様!何故わたくしのお弁当を食べて下さらないのですか?」
「殿!お食事を買いに行かせるなら三日月ではなく私にご命令下さい!」
両側から二人同時に抗議され、章は取り繕うように気弱な笑みを浮かべる。
「う、うん・・・次からはそうするよ・・・でも、今日はもうお腹一杯だから・・・」
章はお腹をポンポンと叩いて満腹だとジェスチャーする。
「「・・・・・・・・・」」
剣と文は不満そうな表情を浮かべ、互いを牽制し合う様に視線を交わす。
(ううう・・・・)
二人の間で見えない火花が飛び散るギスギスした雰囲気に、章は近頃シクシクと痛み出した胃を摩る。
「ちっ、見せ付けやがって・・・」
「あ〜あ、どうしてあんなチンチクリンが・・・」
「呪ってやる・・・」
(影口なら影で言えよお前ら!!)
美少女二人の(時には忍も参戦し三人になる事もある)争いだけでも勘弁して欲しいのに、章は今ではクラスの男子生徒との交友関係からさえ孤立していた。
思春期の男子にとって女にモテる男ほど嫌なヤツは居ない。
これが成績優秀・スポーツ万能の美少年ならまだイヤイヤながら納得出来るが、章は成績は中の下(この調子では次のテストで下の下に落ちるだろう)スポーツはソコソコ、顔は醜くは無いが平凡な顔立ち。
それなのに三人の美少女からチヤホヤされているのだから、周りの男子が面白いハズが無い。
幸い直接的な攻撃は無いものの、今まで友達だと思っていた人間は尽く彼の傍を離れていき、章は軽い人間不信に陥りそうなほどだった。
(男の友情なんて女が絡めば脆いもんさ・・・)
飛龍 章は16歳にして早くも人生の現実を一つ知った。


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