人生をやり直すために必要なもの 9
「へえー、そう言われると遼平くんの服脱いだ姿、ますます私、気になります!なーんて」
澪さんが冗談交じりにクスッと笑って言う。
…そこでそのネタですかい。
澪さんも、風呂に入るまでは美晴ちゃんの傷に関しては考えないでおこうということだな。
そう笑ってやり取りしてる間に、美晴ちゃんが服を脱いでいた。
…想像以上だった。
背中に残る大きな痣。
とてつもなく強い力で殴られたり蹴られたりしたのだろうか。
「(…惨いでしょ)」
「(ええ)」
澪さんが察したのか、僕の肩に手を置く。
確かに、こういう姿を毎日見るのはちょっと辛い。
美晴ちゃんが背負ってきた過去は壮絶だったようだ。
「2人ともどうしたんですかぁ?一緒に入りましょうよぉ」
笑顔でそう促す美晴ちゃん。
…本人はそういう辛いところ見せないのが、また。
「(行きますか)」
「(そうだね)」
澪さんと軽く視線を合わせ、服を脱いでお風呂へ。
…澪さん、肌綺麗だな
つい見惚れてしまった。
子役とはいえもともと芸能人だったからだろうか、澪さんは他とは何か違うオーラを感じる。
「美晴ちゃん、体洗うよ」
「はーい」
その間に僕は浴槽の中に身を浸からせる。
目の前の2人は実の姉妹のようでなんだか微笑ましく思う。
美晴ちゃんも体の傷は痛々しいが、スタイルは悪くない。
いや、結構発育いいなと思ってしまう。
美晴ちゃんは可愛い顔しながら、本当はすごく強い子なんだな。
じゃなかったらこんな酷い傷抱えてこんなに笑ってなんていられない、普通は。少なくとも僕が美晴ちゃんの立場だったら間違いなく無理だ。
美晴ちゃんの体の傷は、これからは気にしないでおきたい。
彼女のためにも、僕らにとっても。
「遼平くんも体、洗ってあげようか?」
「えっ?」