人生をやり直すために必要なもの 8
澪さんや美晴ちゃんと話しているうちに、あっという間に夜になった。
「じゃあ、そろそろ行こうか」
「どこに?」
思わず澪さんにそう尋ねる。
「食堂だよ。寮にいるみんなでご飯を食べるんだ」
「もちろん、今日は遼平さんもですよ♪」
美晴ちゃんが腕を絡めさせながら言う。
美晴ちゃん、本当に人懐っこい子だ。
「じゃあ、私も♪」
「えっ?ちょっ、澪さん!?」
空いたもう片方に澪さんがやってきて、腕を絡めて来て。
両手に花です。
いや、幸せかもしれませんが、正直恥ずかしいです。
この体勢で食堂入るんですし。
あ、澪さん、結構胸あるかも…
―食堂はこじんまりとしたもので、みんなで同じメニューを食べる。
職員の方が気を使ってくれて、少し多めに盛ってくださった。
「男の子はたくさん食べて大きくなるんだぞ〜」
杏里さんは周りの小さい子と同じようなことを僕に言うし。
…食事を終えて、部屋に戻る。
「遼平さんも一緒にお風呂入ります?」
美晴ちゃんが無邪気にそう聞いてくる。
うん、もちろん!と即答したいところだけど、君の、体の傷跡がどんなものか…
「お風呂も広いですから、澪さんも一緒で3人で!」
ああ、そうなの…
美晴ちゃんに言われたので、澪さんの顔色をうかがってみると、困ったような顔をしながら笑っていた。
「(どうしようか)」
「(遼平くんも一度、確かめてみる?)」
まあ美晴ちゃんが嫌がっていないならと、3人で脱衣所に向かう。
「嬉しいなぁ〜私、男の人と一緒に入るの始めてなぁんだぁ。」
…あ、そういうこと?
それは僕だって同じことで、母さんと一緒に入ったのは何年前だっけか?
何時にしろその時の僕はまだ毛も生えてはいない子供だったに違いなく、こんな期待混じりの眼差しで見られると、なんだか不安にもなる。
「そう言われると何だか恥ずかしくなるよぉ。僕だって女の人の前で裸になったこと無いんだぁぜ;」
僕は俯き加減に、頭をポリッと掻いた。