人生をやり直すために必要なもの 7
…彼女が好きなことは確かだった。
それが行き過ぎて邪な方向に行ってしまうのは男として仕方ないことだと思う。
…結局、自分の考えの中では何をしても自由…澪さんの言うとおりなのだが。
ただ、あの告白した彼女が僕を中傷したのかは結局わからないままだった。
あのときは周りで噂が広まっただけで、彼女の真意を聞くことができなかったから…
「遼平さんは、私たちのことどう思ってます?」
冷たいお茶の入ったグラスを持って、美晴ちゃんがやってきた。
「どう、ってねぇ…澪さんはいい友達だし、美晴ちゃんは妹みたいな存在かな…」
まだ会ってそんなに経たないし、そうとしか言えないよなぁ。
「ふふ、ありがと」
澪さんは軽く微笑んだ。
「遼平くんの好きなタイプって、気になるな〜?」
…ちょっと意地悪ですね、澪さん…
好きなタイプ、ってねぇ。
今まで二次元の女の子が恋人だった僕にとって、初めて好きになった現実の女の子は、あの彼女だった。
「や、優しい人、かな…」
間違っちゃいないけど、曖昧すぎる答えだ。
あの彼女が本当にそうだったかはよくわからないのだが。
「へぇ…」
澪さんはそれに頷き
「うん、一番は、そうだよね」
「でもやっぱり、見た目とかも気になるんでしょ?」
好奇心いっぱいといった表情で聞いてくる美晴ちゃん…
いろんなことがあったにしろ、やっぱり13才の女の子なんだね。
「僕は顔よりも中身を重視するよ…」
あの彼女との一件があって以来、僕は可愛い女の子をどこか敬遠してしまっていた。
「ふぅ〜ん、でも付合うとかじゃなくても、妄想の中でのタイプってあるんじゃない?」
…突っ込んできますね、澪さん…
「妄想…そういわれると、僕にとっては…」
思い浮かぶのは二次元のキャラクターばかりになってしまう。
「アニメとか漫画のキャラ、でもいいと思う。実は私もそうだったり」
照れ隠しにえへへと笑う澪さん。
…なんか見透かされてたような気もするけど…気持ちが同じならいいかな。
そうやって二次元の方向に走り続けると、現実世界にもセーブポイントがあったらなあなどという思いが沸く。
そうだったら、あの彼女だって…
…やめよう。もうこれ以上引きずるのはよくないかもしれない。