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人生をやり直すために必要なもの
官能リレー小説 - ラブコメ

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人生をやり直すために必要なもの 3

…大変だったんだな
そう考えると、僕なんて大したことなんてないな…

「お父さんは?」
「私がまだ幼かった頃に亡くなったから、よく知らない。有名な俳優さんだったみたいだけど」
澪さんは、お母さんから逃げて、ここで寮生活なのか…
それでもそういう辛さを見せないのは、すごいと思った。

「同い年で、話し相手が見つかってよかった。よろしくね、御坂くん」
「よろしく…僕のことも遼平でいいよ」
「うん、よろしく、遼平くん」

その後、澪さんとはいろいろ、他愛もない話で盛り上がった。
人生で、同年代の女の子とこんなに長い間喋っていたのは初めてじゃないかと思ったくらいだ。
…あの時告白した彼女も、澪さんみたいに気さくで優しかったら…
いや、今それを考えるのは止そう。

とにかく、ここに来て、澪さんと出会えたのは僕にとってとてもよかったことなのだから。
少しずつ、僕の心もそれで回復すればいいんだ。

その後も、澪さんとは毎日のように楽しい会話を交わしていた。
話していくうちに、澪さんがアニメや漫画が好きなこともわかり、僕は嬉しくなってつい話が熱くなることもあった。
『キモオタ』なんて言われて向こうでは避けられていたことなんて、もう過去の話。
澪さんはいつも笑顔で、僕は嬉しかったんだ。

それから数日。
「おはよう、遼平さん」
「ああ、おはよう」
近づいてきたのは桜庭美晴ちゃん。
僕や澪さんの2歳下の中学生。
僕がやってきた数日後にこの施設にやってきた女の子だ。
澪さんのルームメイトになったらしい。

美晴ちゃんの少し後に、澪さんもやってきた。
「おはよう、遼平くん」
「澪さんもおはよう」

カウンセラーの先生と話す美晴ちゃんを見ながら、澪さんと話す。
「美晴ちゃんは澪さんのルームメイトだよね?」
「うん、明るくて、可愛い子だよ」
澪さんは優しく語るが、その表情は曇り気味だった。

「…どうかしたの?」
「お風呂に一緒に入ったんだ…そのとき気づいて、ショックだった」
「何が?」
「美晴ちゃんの身体には、無数の痛々しい傷跡があった」

「…傷跡?どういうこと?」
「おそらく、両親から虐待を受けていたんだと思う…」
そうか、それで、ここの寮に来たのか…

向こうで話す美晴ちゃんは、とても楽しそうだ。
「美晴ちゃん、そんなところ、一切見せないんだね」
「うん…辛いと思う。でも、すごく強い子なんじゃないかな」
澪さんの声が、心なしか上擦っていた。

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