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人生をやり直すために必要なもの
官能リレー小説 - ラブコメ

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人生をやり直すために必要なもの 2

この施設に来て、今日で3日目になる。
僕は海を眺めることの出来る窓際の席に座り、外に視線を向けていた。

外を眺めるだけでも時間は過ぎる…そのとき

「前、いいかな」
「え、あ、はいっ」
前の席に、女の子が座った。
長い黒髪が綺麗な、可愛い子だった。

「御坂くんだっけ」
「え、あ、う、うん」
…半年前のあの出来事が尾を引いているせいか、女の子相手にうまく喋ることができない。
「私、古沢澪。よろしくね」

古沢さんは、ニコッと微笑んだ。
…可愛い。

「御坂くんは、ここに来てどれくらいなの?」
「今日で3日目かな」
「寮に住んでる?」
寮…そういえば、初日の説明会のときに、ここで寮生活をする子もいるって話を聞いたっけ。
「えっと、母さんの実家がこの近くにあって」
「あ、そうなんだ」

「古沢さんは寮に住んでるんだ」
「うん…あ、私のことは澪でいいよ」
…そう言われても、同年代でも女子を名前で呼ぶことなんてなかったから…

「あ、御坂くんって、いくつ?」
「16、だけど」
「同い年なんだぁ」
僕も驚いた。大人っぽいから年上だと思ってた。

…こんなにも可愛くて、優しくて、気さくな女の子の古…いや、澪さんにも、心の傷があるんだな…

「どうかした?ボーっとしちゃって」
「あ、い、いや…ふ、いや、澪さんって、どうしてここに…」
「ふふ、見えないよね、そんな風に。でも、結構辛かったんだよね」
やっぱり、誰にでも、悩みはあるんだな。

「私ね、これでも、子役で、テレビに結構出てたんだけどね」
そう言って、澪さんはドラマのタイトルやCMのフレーズを教えてくれた。
…僕も良く知ってるものばかりだった。


「すごい、有名人だったんだね」
「まあね」
澪さんはあっさりと言う。

「でも、いいことばかりじゃなかった」
澪さんは語りだす。
「母がマネージャーの代わりだったんだけど、スケジュールがきつくて倒れそうになったり、やりたくないグラビアの仕事が入ってきたり、お金は母が全部管理していたから欲しいものもなかなか買ってもらえなかった。学校では、私を冷たい目で見る人たちが多くて…結局全部辞めた」
澪さんは、窓の外の海を眺めて、言った。

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