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俺は執事だ!
官能リレー小説 - ツンデレ

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俺は執事だ! 1

下山 春樹(しもやま はるき)は卒業を間近に控えた高校三年生だ。だが、進学する気は無く、かと言って就職先も決まっていなかった。このままではニート確定だ。ある日、春樹は進路指導の教師に呼び出された。
「下山、喜べ!お前のために素晴らしい就職口を見付けて来てやったぞ」
「ほ…本当ですか!?」
「ああ、ちょっと変わった業種だが給料は良い。頑張れよ!」
「はい!ありがとうございます。それで、何の仕事なんですか?」
「…それは、まあ、行けば分かる」
そう言って教師は地図と住所の書かれた紙片を春樹に渡した。
「はあ…」
なぜか歯切れの悪い教師に春樹は一抹の不安を覚えた。

「こ…ここか…」
地図に従って春樹がやって来たのは高級住宅街…その中でも特に立派な大邸宅が立ち並ぶ区域である。そこは木々に囲まれ、邸宅同士は視覚的に隔てられており、一軒々々の敷地が学校ぐらいの広さがある。まさに金持ちの中の金持ちしか住めぬような超一等地、庶民(バンビー)の春樹には本来ならば一生縁の無いような所だ。
「はぁ…一体どんな悪事を働けばこんな所に住めるんだ…?」
春樹は世の中の不条理さに溜め息混じりに呟いた。
春樹は気を取り直して目の前の大豪邸の門前に掲げられた表札を見た。装飾の施された銅板の表札には“Nishikujo”と表記されている。
「にしくじょー?…西九条か!」
春樹はその姓に覚えがあった。西九条 彩華(にしくじょう あやか)…中学時代の同級生だ。確か親は大資産家で、校内でも一位二位を争う美少女だったのだが、酷い女王様気質な我がまま娘で、常に二〜三人の取り巻きを従えて、「お〜っほっほっほ!」と喉を痛めそうな高笑いが印象的で…とどのつまり、超ステレオタイプな“お嬢様”なのであった。
「ま…まさか…俺の就職先って…西九条の家なのか…!?」

屋敷の一室に通された春樹は、その部屋で彼女との再会を果たした。
「お〜っほっほっほ!!ようこそ下山春樹!我が僕(しもべ)よ!」
(どうやら悪い予感が当たったみたいだな・・・)
春樹は屋敷の前で回れ右をして去らなかった事を今、痛烈に後悔していた。
「ようこそおいで下さいました、春樹様。さあ、どうぞお座り下さい」
「あ・・・ありがとうございます雅(みやび)さん」
彼は顔馴染のメイドに礼を言うと、一脚数十万円はしようという豪華な椅子に座る。
「雅!!その男は今日から私の下僕なのよ!“様”を付ける必要など無いわ!」
「申し訳ございませんお嬢様。ですが殿方に対して礼を尽くすのはメイドとして当然の事ですから・・・」
「フン!何が“殿方”よ!そんな男“そいつ”で充分じゃない!」
「お嬢様、いつも申し上げているように言葉使いは・・・」
「あの〜、すいません。ちょっとよろしいでしょうか?」
「はい、何か?」
春樹は放っておくと延々と続きそうな主従のやり取りに口を挟む。
「俺はココに就職口があると聞いて来たのですが・・・?」
「ああ、そうでしたね。実は当家のお嬢様付きの執事が先月、高齢を理由に引退いたしまして・・・そこで新たな執事として春樹様に是非とも当家に来ていただきたく、春樹様の学校にお願いした次第です」
「フン!!喜びなさい!このままでは職にあぶれてニートの引き籠りになっていたであろうアナタを大いなる慈悲の心でこの私が雇って差し上げようと言うのよ!さあ!!感涙の涙で咽び泣きなさい!下山春樹!!」
「イヤだ!!」
春樹はにべも無く断る。

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