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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 2

樹里はそんな会話に思わず馬房の中を覗き見る。
そこには驚くべき光景があったのだ。

裸で壁に手を突く女が2人。
男がバックから若い女を突いていた。
たわわな乳が突かれるのに合わせてゆっさゆっさと揺れ、同じ体勢の隣の年嵩の女と共に喘いでいた。
それが十年程前に一度挨拶した事があった鈴木牧場長の妻と娘であると分かり、息が止まるぐらい樹里は驚いた。

それだけで息が止まるぐらい衝撃的なのに、女を犯す男が放った言葉は更に衝撃的だった。

「流石は母娘共々白幡社長に仕込まれただけあっていい具合じゃないか」

白幡社長・・・
つまり、自分の父の名前が出てきて更に驚く樹里。
樹里の母は二十年近く前に亡くなり、一人寡で娘を育ててきた父。
尊敬していた父が外でこう言う事をしていたとは・・・

足元から崩れそうになりながら後ずさる樹里。
そのまま倒れてしまいそうになった所、その手をしっかり掴む者がいた。

「ここに居ちゃダメだよ」

それは年若い少女だった。
どこか桜木母娘に似た顔をしていた。
少女に手を引かれるがままに馬房から離れる樹里。
まだあどけない顔なのに、どこか大人びた不思議な少女だった。


「あっ、あなたは…」
「静かに。もうちょっと離れた場所に行こっ」

少女は樹里の手を引いて馬房から離れていく。
2人の女―鈴木母娘―の喘ぎ声が、次第に遠く、小さくなっていく。

「ここなら大丈夫」

少女が樹里とともにやってきたのは、広々とした放牧地。
数頭の母馬と仔馬が思い思いに駆けていた。

「お姉さんも、大丈夫?」
「うん、なんとか…それよりあなた…」

放牧地の柵に身を預けながら、樹里は問うた。

「わたしは桜木奈帆。あそこにいたのはママとおばあちゃん」

やはりそうか・・・
少女の言葉に樹里は驚かなかった。
しかし、こんな子があんな事を見知っているとは、教育上どうなんだって思いながら樹里は口を開いた。

「私は、白幡樹里・・・白幡ホールディングスの社長よ」

その名を奈帆に名乗るのは多少躊躇した。
恐らくだが、樹里の父が本当に関係を持ってるのだとすれば彼女も知ってるかもしれないからだ。

「じゃあ、白幡のおじさまの?」
「ええ、娘よ」

じっと樹里を伺うように奈帆は見る。
もし恨まれていたらと思いながらの会話だったが、奈帆は微笑んでいるだけだった。
それは、年齢より大人びた悲しげな笑顔だった。

「おじさまにはこの牧場の事、よくして貰いました」
「それは私達の力じゃなく、この牧場の力よ」

そう言うが奈帆は首を横に大きく振った。

「ああやって母や祖母が身体を売って成り立ってるのがこの牧場の現実です・・・」

そう言う事か・・・
あの光景はそう言う事だったのだ。

「私は小6ですが・・・いずれ私も母達みたいに」

悲しげな笑顔は覚悟もあるのだろうか。
樹里の心に刺さるような笑顔だった。

そんなことはさせない、なんて言葉がかけられるような自信は今の樹里にはなかった。
だけど、この子―奈帆―が先ほどの祖母と母のように身体を売るのもやむ無し、と考えざるを得ない今の状況は何とかしたい気持ちは沸いた。

「お姉さんは、おじさまのようにお馬さんを持つのですか?」
「ええ、私は父の遺志を引き継ぐわ」

奈帆がホッとしたような笑みを浮かべた。
それでも100%安心したわけじゃないだろう。

「ここで生まれた馬が、大きなレースで結果を―ほわぁ!?」

奈帆を元気づけるために心強い言葉を言おうとした樹里の目の前にぬっ、と真っ黒な馬体の仔馬が顔を出した。
樹里に託された馬の1頭であるモガミ産駒の1歳の牝馬だった。

モガミはフランス産の種牡馬で、自身は勝ち鞍に恵まれなかったが良血故に種牡馬として輸入されてきた。
そしてその初産駒が今年の夏にはデビューする。

馬産地の評判は中々であるが、気象面で手がかかる産駒が多いと言う悪評もかなりあった。
だが、この牝馬は人懐っこくて大人しく見えた。

「クロちゃん、オーナーさんに挨拶しにきたのかな?」

クロちゃんとは単純なネーミングだが、牧場ではよくある事だ。
そのネーミング通り、青鹿毛の馬体には白斑一つも無い。

「賢そうな子ね」

父が生前最後に選んだ馬の一つだ。
確かその歳の一歳馬の中で最も気に入っていたと思う。

「この子はママもお婆ちゃんも今までこんな凄い子はいなかったって・・・期待してるんです」
「そっかぁ・・・じゃあ、この子が大きいレースに勝てたら・・・」

そう樹里が言うが奈帆は悲しそうに首を横に振る。

「もう、この子達がレースに出るまで牧場が持つかどうか・・・だからママもお婆ちゃんも・・・」

そう言う事か・・・
それだけ零細牧場にとって苦しい時代だと言う事なのだろう。

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