女子スイマーのミラクルバイト 8
美夏は落ち着いた口調で、動揺を隠せない残りの部員を落ち着かせる目的も含めながら、みゆに冷静になるよう促した。
「…にしても、何が目的かしらね」
「結局女の子集めてエロい動画でも撮りたいんじゃないの。AVまではいかないまでも、ハプニングでポロリとか、今みたいに透ける水着とかね」
ちなみと美夏が話し合う。
ある意味経験豊富な2人がいてよかった、と由梨は胸をなでおろす。
「なんか…ほかのチームも同じ感じだし。あまり騒がないで普通に練習してレースに出ればいいんじゃない」
由梨はチームのメンバーをとりあえず落ち着かせた。ただ、まだ水着の透け方に対するショックは払しょくできないようで動揺が隠せない。
「諸君、改めて、よく来てくれたっちゃ!」
さっきの特徴的な春夫の声が聞こえる。何人かは声の主を探してキョロキョロしたが、その声はいくつかのスピーカーから発せられているだけで姿は見えなかった。
姿がないので、誰も水着に抗議の声をあけたりはしなかった。
「まーたあの変な喋り方になってる」
春香はスピーカーの方向を向いて険しい顔をする。
彼女たち以外のグループもプールから上がり、春夫の話に耳を傾ける。
「我々の同志たちが長年復活を夢見てきたミラクルなイベントを、今日ここで成し遂げることができたんだっちゃ。8組の団体には心から感謝しているなり」
「だから、そのイベントって何よ」
「今ここに、美女オンリー・セクシースイムフェスの開催を宣言する…なりっ!」
「ではー、これからー、チーム紹介なりー 呼ばれたら、立ち上がるべしー…エントリーナンバー一番、野田科学大水泳愛好会なりー」
同じような水着を着た、しかし、まだ、透けてはいない一団が立ち上がった。
「ルックスでは、絶対勝ってる」
由梨が彼女らを見て、ぽつりとそう言う。