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淫蕩王伝―再誕―
官能リレー小説 - ハーレム

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淫蕩王伝―再誕― 89

購入したアイテムを念入りにチェックし、豊たちもまた他の冒険者と同じように遺跡へと向かった。



「ここまで来て遭遇するモンスターが少ないとやっぱり出遅れた感があるなぁ」
なんだか拍子抜けとばかりにぼやくレイラ。
多くの冒険者が聖剣を目指して遺跡の最奥へと進んでいく中、豊達が遭遇したモンスターはほぼいないと言ってもいいほどだった。
むしろ、死にたてのモンスターの遺骸が晒されているのを目にする事が多いくらいだ。
「まあ、楽させて貰っていると思えばいいじゃないか。ここまで順調に進んでいる訳だし」
と気楽に豊が相槌を打つ。
探索に出ているとは思えないピクニック気分とばかりにほのぼのとした空気が流れている。
ただ、豊が住んでいた日本の多湿気候とは違い陽射しが強く、空気は乾燥気味だ。
「問題はといえば、この乾燥した空気だけど……リップクリームやハンドクリームぐらいは欲しい所だよ」
日本の乾燥した厳冬で肌の弱い人にとっては欠かせないリップクリーム。
肌が荒れ、皮が捲れ、出血や浸出液が出ての悪循環を防ぐ為にも必要不可欠だが……。
「リップクリームとかハンドクリームとかってなんですか?」
豊の言葉を耳にしたセーラが質問をする。
「肌の乾燥を防ぐクリームだよ。乾燥すると肌って荒れて、皮が捲れて、出血や浸出液が出ての悪循環に陥ってしまう。そうならない為の保湿クリームなんだけど……無いもの強請りした所でなぁ」
「ああ、それならこれの事ですね」
アイテム袋から葉に来るんだ何かを取り出すセーラ。
「これは?」
「クリームオイルと言いまして、肌を潤してくれるんです」
笑顔で答えるセーラ。
そんなものがあるんだと豊は妙な所で関心した。
「う、うわあああぁぁぁぁぁ!!!」
セーラが答え終わったと同時に歩いていた前の方から人の声が聞こえた。
それはまるで戦意を挫かれて、逃げるのに必死な悲鳴だ。
「おまえら、命惜しかったら逃げろ!!とんでもない化け物が来やがったぁ!!」
戦闘を走って逃げる戦士風の男が情けない声で豊達とは逆の方向へ走り去った。
その後に続くように他の冒険者も我先にと逃げる。
「おいおい、一体何が」
唖然と見送る形になった豊達が反対の方向に視線を向けると驚愕で目を見開いた。
「なんだあれは……」
パッシェンデール遺跡の通路を壁の如く防ぐように迫る巨大な蟹。
一戸建て家屋ほどの大きさを誇り、地響き立てて歩くそれは圧倒的ともいえる。
「デッドリークラブロス!!なんであんな中位モンスターが!!」
ありえないとばかりに声を出すレイラ。
デッドリークラブロスの左の鋏には迂闊に掛かって挟まれた冒険者が青白い顔色でぐったりとしていた。
その挟んだ哀れな獲物をデッドリークラブロスは情けも容赦も無くぶつりと挟み切る。
噴出す獲物の血が辺りの地面を赤く濡らし、なき別れとなった上半身と下半身の断面からは臓物をぶちまける。
動きは幸いにして鈍い。逃げ切れない事も無い。
「みんな、一旦体勢を立て直す為にも撤退しよう。あのデカブツについては後で話す」
「そうだね」
「賛成」
豊、セーラ、エリカが同意し、来た道を引き返そうとした。
だが、進もうとした方向の城壁が爆発したかのように吹き飛ぶ。
目の前で散ばり飛ぶ瓦礫がスローモーションが掛かったように飛んでいく。
「もう一体!!」
「挟まれた!!」
絶体絶命の状況。
のそりと開けた城壁の穴から出てくる退路側のデッドリークラブロス。
「ユタカ君、レイラ……少しの間時間稼ぎして貰っていい?」
「なんか、手があるのか?」
「うん……とりあえず、準備が出来たら離れるように言うからそれまで何とかお願い」
両サイドを完全に塞がれ、絶体絶命の中、エリカが苦肉の策を提案する。
「わかった」
「なんとかしてみる」
豊とレイラが頷くと同時に退路側のデッドリークラブロスへと挑む。
「でぇやぁぁぁ!!!」
「はあぁぁぁぁぁ!!!」
左側から豊の剣が、右側からレイラの斧が振り下ろされる。
幾度もの魔物を屠った武器は予想外な事に甲高い音を響かせて弾いた。

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