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淫蕩王伝―再誕―
官能リレー小説 - ハーレム

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淫蕩王伝―再誕― 28

「おかしいな・・・・森深いのにモンスターが出てこない。」
チームリーダーのジークが言った。
「モンスターの気配がなさすぎる。動物さえ少ない。避けられている気さえする。」
トニーも同調する。
「精霊たちの様子も変です。バンシーの気配ばかりで、他の精霊の活動がいやに低調です。」
エクシスも、懸念を表明した。
「このあたりにしちゃ妙に寒い気がすると思ったら、そのせいか。」
オスカーが納得したといった様子で言う。
既に出発から4日目。村を囲む森の中だというのに、異様に静かなのだ。
「あの・・・ここはあえて昼夜兼行で進んだ方がいいのではないでしょうか?」
恐る恐る、豊は発言した。
「そうかもしれんのう。村がどんなことになっているのかわからない以上、救援を必要としとるかもしれん。モンスターの気配無い限り、精霊の様子が変わらない限り、このまま突っ切った方がいいかもしれん。」
オルトンが共感した。
だがジュディは反対する。
「魔族の罠だと私は思う。モンスターだけを見て判断するのは性急だと思う。罠だとすると魔族くらいしかこんな大仕掛けな罠は出来ないと思うわ。」
エリカが豊に質問した。
「ユタカ君、そう思った理由は?」
「普通の危機なら、救援要請を出しますよね。昨日見た死体はその救援を呼びに出た人のものでしょうから、もうすでに救援を呼べないほど悪化しているんじゃないかと思います。」
「ならば余計待ち伏せの危険は高いじゃない。突進しちゃ駄目よ。」
ジュディは言下に否定する。
そこでトニーが言った。
「別に俺は、一晩二晩なら寝なくても平気だが・・・・誰か、寝ないとまずい奴はいるか?」
この質問には全員が否定した。
そこにエリカが言った。
「村についてから眠れるかどうかと言う疑問はあるけど、状況的にそうも言ってられなさそうね。
私は賛成よ。」
ここでジークが言った。
「ここでいつまでも議論していたら、余計に危ないかもしれない。だから、多数決を取ろうと思う。ユタカの提案に賛成の者は手を上げてくれ。」
まず豊が手を挙げ、セーラ、オルトン、トニー、エリカが続き、ジークも手を挙げた。少し考えてハリーも手を上げる。ジュディは不満げに顔をしかめている。
「これで賛成7名。反対の奴には悪いが、昼夜兼行で村へ急ごう。」
チームリーダーのジークの決定が下る。
「ありがとうございます。」
そう言って豊は全員に頭を下げた。


夜も歩いた豊たちは、翌日の明け方になって、リュフェス村の入り口にたどり着いた。
柵と堀で囲まれた中に畑がある、僻地の村らしい姿だった。だが・・・

「おい、人が倒れてるぞ。」
夜目が効くので先頭にいたエクシスが、緊迫した口調で言った。
村の入り口には人が倒れていた。
それは、中年と思しき男性だったが・・・・・
白んできた空に照らされたその姿は。
「何だこの青い斑点は・・・・・。」
全員が驚く。全身に青い斑点が現れていたのだ。
「駄目じゃな・・・・息絶えておる・・・・。」
容体を見ようとしたオルトンが言った。
「幸運神ケイオニアよ、この者が冥府で幸多からんことを・・・・・」
「何かの病気ですよね。ひょっとしてこの病気のせいで、みんな動けなくなったのでは。」
不安げな表情で、セーラが言う。
マートが、村人を見て言った。
「旅支度をしているね。何とか救援を求めようとしたようね。」
「誰か、この病気が何かわかる奴はいるか?」
ジークが全員に問いかける。
だが豊が割り込んだ。
「それよりまず、病人にうかつに触らないでください。触っただけでうつるかもしれません。あと、この村の食べ物も水も摂らないでください。村人の排泄物に触れるのも駄目です。」
ジュディが賛成した。
「そうね。どういう病気かわからない以上、用心しすぎてもしすぎることは無いわね。」
「・・・・・・・・・。」
エリカは無言で考え込んでいる。
「エリカさん、どうしました?」
「もしかして!」
エリカはいきなり走りだし、近くにあった家に飛び込んだ。
「どうしたんだ?」
トニーが不思議がる。
「とにかく行ってみよう。だが念のためだ。「クアッド」の4人はここに留まってくれ。」
「あ、ああ。」
トニーが応じ、残りの6人はその家へ行った。

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