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淫蕩王伝―再誕―
官能リレー小説 - ハーレム

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淫蕩王伝―再誕― 132

 豊達も、どうしたのかと心配になった。

「セーラちゃん、どうしたの?今日は何か様子がおかしいよ?」
「セーラさん、どうし……」

 豊が、声をかけようとして途中で言葉が止まってしまう。
(まさか……あのアーマルドの件で何かあったのか……?過去の何か心の傷が開いてしまったとか……だとすると…)
 言いかけて思い至った豊は、何を言っていいのかわからなくなったのだ。

「ユタカ?お前までどうしたんだ?」
「本当に…何でもないんです」

 レイラが豊の様子を訝しむ。すると、セーラがいきなり立ち上がり、一言だけ言ってそのまま立ち去ってしまった。

「どうしちまったんだ……?」
「うーん……思いつめてる感じね……」
「様子を見てきます」
「あ、ユタカ君!」

 いきなり豊が一言残して、セーラを追う。エリカが慌てて呼び止めるが、豊は振り向かずそのままセーラが行った方へ向かった。

「とりあえずユタカに任せるか……」
「そうね。何とかしてあげたいけど、言ってくれないし…」

 豊にとっては幸いなことに、すぐにセーラの姿を見つけることができた。
 ログハウスの外で、あのアーマルドの遺体があった方を遠く見つめていたのだ。

「セーラさん!」
「ユタカさん…」

 その姿を認めた豊が声をかけると、振り向いたセーラは泣き出しそうな顔になっていた。
 思いつめたような、胸を締め付けられたようなその様を見て、豊もただならぬものを感じ、慌てて駆け寄る。

「どうしたの?セーラさん……アーマルドの事だけじゃないよね。何か、悩みがあるなら言って欲しい。どうして苦しんでるのかはわからないけれど、僕で少しでもセーラさんの力になれるなら、何とかしてあげたい」

 豊の言葉を聞いたセーラは、泣き出しそうな顔のまま何も言わず豊を見つめていた。
 セーラを見つめる豊の瞳には、ただただセーラを大切に想い、何とかしてあげたいという愛情が満ちていた。

 じわり…じわり…と、セーラの瞳が潤み始めた。
 いつしか、セーラの両眼に涙が溢れ……

「えっ…セーラさん…」
「ユタカさん……私……また、救えなかった……」

 豊が驚く間もなく、セーラは豊の胸の中に顔をうずめて泣き出していた。

「落ち着いて、僕がついてるから…」

 胸の中で泣くセーラを抱きとめながら、豊は必死に考えていた。

(えっ、また…って……どういう事だ…?思い出せ…思い出すんだ……)

 豊はアルマール寺院でセーラと出会ってからの事を、必死に順繰りに思い出していた。何がこうしてセーラを苦しめているのか、どうにかして見出そうと。
 二人が出会ってからの事を、豊は順繰りに思い出していた。
 一緒に旅をし始めてまもなく、立ち寄った村がゴブリンに襲われた。
 防衛戦に参加してどうにか撃退したものの、村人の中にはセーラの治癒魔法が間に合わず亡くなった負傷者もいた。

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