龍の4戦士 1
私、龍崎正美は空手が得意な女子高校生なんだけど・・・
「こ、これが私・・・」
声が普段よりも低くなったのに驚いて思わず口を塞ぐが、
水面に映っている私の姿は肩のプロテクターにしろ、
腕を覆っているアームカバーにしろ、
まるで小さい頃に従兄弟と一緒に見た事のある変身ヒーローを思わせるが、
「うわ、また出た」
さっきから私を追いかけてきた怪物が襲ってきて、
私はすさかず身を避けるのだが、
「今の動き、まるで風になったみたい」
怪物を倒した私の体が突然光ったのだが、
「これで元に・・・戻ってない」
何故か服装がセーラー服からブレザーに変わって、
胸の膨らみは厚い胸板になって、股間の辺りが膨らんでおり、
「な、何で・・・」
思わずズボンのチャックを開けてみると、すっかり皮が捲れた陰茎が顔を出して、
「こ、これがお、男の・・・」
扱こうとすると、
「正明、拾ったエロ本をオカズにオナるつもりか」
何故かクラスメートたちは正美を正明と呼び、最初から正美が男であったかのように接してきたが、
「ど、どういう事だよ」
結局、女に戻れないまま、龍崎正明として生活する事になったが、
「先輩、洗いっこしましょ」
「おい、ここにはお前と俺しかいないからって」
シャワーを浴びている最中に俺同様、男になってしまった龍田翔が、
「先輩のその鍛え抜かれた体、まさに芸術の域を越えています」
翔がここまで俺を慕っているのは、10日程前に遡り、
「ただ無心に己を鍛える男って無条件に素敵だわ」
自分が翔にスケッチされているとも知らずにひたすら練習に打ち込んでいると、
「また龍崎君だけか、他の皆ももう少し熱心になってくれたら」
顧問の女性教師が愚痴をこぼしてその場を去った後、
「あ、あれは?」
正明の目の前に黒い塊が現われ、
「何だ・・・うわ」
赤く光る眼が開いて細長い触手が数本正明の腕や脚に巻き付くと、
俺を大きく振り回してから投げ飛ばして壁を壊してしまい、
「な、何、あれ?」
投げ飛ばされた俺を咄嗟に避けた翔は触手を振り回しながら迫る怪物に、
「こ、怖い、でも、彼を見捨てる訳にも・・・」
突然、翔の体が光に包まれると、
小さながらも膨らんでいた胸が平らになり始め、
粘土細工のように体つきが変化していきながら、防具が腕や肩などに装着され、
最後に龍の頭部を思わせる青いヘルメットが翔の頭を覆って、
「これって・・・」
自らの変わり果てた姿に戸惑う翔だったが、怪物は触手で翔の体を締め付けていき、
「く、苦しい」
俺が撃ち出した火の玉が怪物に直撃し、
「何だ、今の?」
俺は思わず翔に駆け寄って、
「君、大丈夫か?」
怪物が触手を数本失いながらも俺達に襲い掛かろうとすると、
翔の手から衝撃波が弾丸のように撃ち出され、怪物を一瞬で倒してしまい、
「こ、これは・・・」
初めての戦闘を振り返った翔は、
「あれから僕も空手部に入部して先輩を目標に・・・」
「翔、暇さえあれば俺の裸とか描いているよね」
「腐女子だったからって訳じゃなくて、ただ純粋に先輩を描きたいだけですが」
「だったら体をいちいち触ろうとするな」