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ごめんなさい…龍之介くん
官能リレー小説 - 二次創作

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ごめんなさい…龍之介くん 1

『どうして私はこんな所にいるの?』
そう思いながら、少女は窓の外をジッと見つめていた。

彼女の名は舞島可憐。八十八学園の3年生にして、今をときめくスーパーアイドルである。
彼女の視線は外の風景に向いているようだが、本当は外を見ているのか、彼女以外にはわからないだろう。

ここは如月町のステーションホテルの一室である。
窓の外はすっかり夜の闇に覆われ、隣の『スタジオATARU』をはじめとしたビル街と車のライトの群れが光の群れとなって舞い、広がっている。
彼女は『チャンネル9』での正月番組の収録を終え、このホテルに入って来た。
そんな彼女のスマートホンが鳴った。

「もしもし…」
「わかるね?僕だよ。芳樹だよ。もう部屋に入ったんだね。僕もこれから行くから、部屋の番号を教えてよ」
「お願い。もうこんな事はやめて」
「いやー、そうはいかないよ。可憐ちゃんが僕の芸術作品の中の1枚を欲しいと言うから、僕が条件を出し、可憐ちゃんがそれをOKしたんだからねぇー」
「お願い。私の事はどうでもいいの。でも…龍之介くんは関係ないわ」
「そうは言っても、一緒に写ってるからねぇ。写真週刊誌に出れば“スーパーアイドル舞島可憐、通っている学校でのひと時”といったところかな。くっくっくっ…」
「25○×号室よ」
「ふふふ…素直になったね。すぐに行くからね。そうそう、あと、シャワーは駄目だよ。僕と一緒に入るんだからね。それにしても、僕1人の為の、一晩かけての撮影会かぁー。可憐ちゃんも楽しみだよね」
「……」
「今はいいけど、会ったときは2人で盛り上がるんだよ。くっくっくっ…」

(プツッ)
電話は切れた。

「どうして…」
スマホを持ったまま、呪文のように、可憐の口から同じ言葉が出てくる。

どのくらい時間が経っただろうか?

(ピンポーン)

部屋のチャイムが鳴り、ふと我に返った可憐はスマホをしまい、ドアに向かって歩き、そして、ドアを開けた。

(パシャッ)
いきなりフラッシュが焚かれ、一瞬目が暗んだ。
目が元に戻ったとき、カメラを構えて立っている芳樹が目の前にいた。

「お待たせ!可憐ちゃん」
「早く中に入って」
「おや、いいじゃない。見られたら困るの?」
わざとらしく聞いてくる芳樹の顔を睨みつけながら、可憐は中に引き入れる。

「可憐ちゃんって大胆だね。好きな男にもこうやってアタックするの?」
「そんな事…どうでもいいじゃない」
芳樹は軽口を叩きながら、部屋の奥へと入っていく。
可憐はドアを閉めると鍵をかけ、奥に向かった。

芳樹はカメラバッグを持ってきており、それをベッドの傍に置いた。
「早速…始めようか」
芳樹は言った。
「その前に…あの写真を返して」
可憐は椅子に座ると、そう切り出した。
「駄目だよ。返したらすぐに帰っちゃうつもりだろ?それじゃあ意味ないじゃん。僕がいいと思ったら返すよ。あと…そうそう、当然ヌードも撮っちゃうからね。嬉しいなぁー!スーパーアイドル舞島可憐の初ヌードだもんねー」
「!!」

可憐は、すぐに写真を返してもらえない事は予想していた。
しかし、ヌード写真の事は予想しておらず、急に顔色が変わった。

「どうして、どうしてヌードなの?」
血を吐くように叫ぶ可憐。
「いやだなー、可憐ちゃん。その為に…夜にホテルで写真を撮るんじゃないか。それに実はね、僕の宝物で…可憐ちゃんの写真があったんだけどね、龍之介くんに取られちゃってさぁ、可憐ちゃんがわざわざ“私の写真を撮って”と言ってきているんだから、それ以上の写真を撮ると決めたんだ」
憎々しいほど余裕を持って、しかも“わざわざ”を強調して、芳樹は話す。

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