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熱くたぎるもの
官能リレー小説 - 二次創作

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熱くたぎるもの 1

 ある日、少年は両親から一匹のポケモンを貰った。小さな、メスのラルトスだった。その日から、少年とラルトスはバトルをし、遊び、寝食を共にし、互いの絆を深めていった。
 少年が10歳になり旅に出るとき、ラルトスはキルリアに進化していたが、二人の仲は既に家族同然であった。互いが互いを思いやり、時に助け合う。負けたら泣いて、勝ったら笑い合う。そんな熱く楽しい日々が何時までも続いていくはずだったし、二人もそう思っていた。……あの日までは。
 少年は12歳になり、トレーナーとしての腕もかなりのものに成長していた。ジムも幾つか制覇し、リーグ挑戦も手に届きそうな所だった。少年とキルリアがいつものように特訓に励んでいると
木陰からすっと、一人の老紳士が現れたのだ。その男は、シルクハットにタキシードという出で立ちで、まるでこれから友人のパーティに向かうとでもいうような格好であった。
 「おお、若いトレーナーさん。特訓ですか。感心ですなあ。」
男は少年とキルリアに歩み寄り言った。
「いえ、そんな。」
と少年は謙遜するが、まだ12歳、褒められれば嬉しくないこともない。
「いや〜我々年寄りもあなたのような若者を見習わねばなりませんよ。実は私もトレーナーの端くれでしてね、一つお手合わせ願いたいのですが。」
「あ、大丈夫です。こちらこそお願いします。」
 少年はバトルの申し出を快諾した。
「さあ、キルリア!バトルだよ!特訓の成果を発揮してやろう!!」
「もちろん!新戦法の初陣ですもの!」
 少年と老紳士は向かい合い、十数歩分の距離をとった。
「お願いします!」
「こちらこそ!」
 バトルの前の挨拶はトレーナーの基本の作法である。礼に始まり礼に終わる、これがポケモンバトルなのだ。
「さあ、頼みますよ!スリーパー!」
男が繰り出したのは、キルリアと同じエスパータイプのスリーパーだった。常に持っている振り子で催眠術をかけるという、トリッキーなポケモンだ。
「頑張れ!キルリア!」
少年は当然、キルリアを繰り出す。エスパータイプとしてはどちらかといえばパワー系であろう。
 先手を取ったのはスリーパーだった。広範囲に渡る超能力、サイコキネシスを放つも、キルリアは華麗な跳躍でその範囲外に退避する。地面に降りると同時に、流れるようにシャドーボールを放つ。黒い影がスリーパーの腹部に直撃し、その身体を吹き飛ばす。
 しかし、ここで勝ちが見えたことで少年は油断をとってしまった。再度、近距離でのシャドーボールを撃つべくキルリアをスリーパーに接近させ過ぎたのだ。この隙を利用し、スリーパーは十八番の催眠術を仕掛けた。強力な催眠術をモロに受けたキルリアは呆気なく眠りについてしまった。



「おお、眠ってしまいましたか。バトルと言えど、眠っているポケモンに攻撃するのは紳士のプライドが許しませんからね。
決着は、またいつかつけましょう。」
「えっ、ちょっと!?まだ戦えますよ!!」
 少年はバトルの続行を訴えたが、老紳士はもうそこにはいなかった。まるで風のようにその場から消えてしまったのだ。
「一体なんなんだ…あの人は?」
 老紳士の行動を不思議に思いながらも、少年はキルリアの元へ駆け寄った。
「キルリア、怪我は無いかい?」
「……ん、んぁ、…あれ?スリーパーは?」
「あの人達は、どこかへ行ってしまったよ。決着はまた今度、なんて言って。」
「ごめんなさい、私、特訓したのに…」
「いいんだ、タイミングは完璧だった。僕が油断してしまったんだ、君は悪くない。」
「………ん、次は、次は勝とうね!」
キルリアは明るい声を出し、いつものように少年にギュッと抱きついた。
 その時だった。

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