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マセガキの寝取りボインハーレム ―IS編―
官能リレー小説 - 二次創作

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マセガキの寝取りボインハーレム ―IS編― 32

「は、はあ……」
軽く片手を振って謝罪を受け流す楯無。そんな彼女を、セシリアはじぃっと見つめた。
……そう言えば、楯無も最近おかしい。
具体的な言明はできないが、どうも以前より増して綺麗になった気がする。艶かしくなったというか、女の色気が増したような感じだ。
そして、何よりも。
(――――彼女も一夏さんを避けてるような気がしますわ)
そうなのだ。楯無も箒同様、一夏に冷たくなった気がしてならない。前はこちらが見ていて、嫉妬で殺意が芽生えそうなくらい、一夏にベタベタしていたというのに。楯無がここしばらく、その楯無が一夏のそばにいるところを見ていない有り様だった。

(彼女も一夏さんと何か……? 箒さんといい、会長さんといい、ここまで来るとさすがに怪しくなってきましたわね)
シャルロットが指摘していた異変を、ようやく感知し始める。
そんなかセシリアの胸のうちを知ってか知らずか、楯無は含みをこめた笑顔で、口を開いた。
「ところでセシリアさん。何か悩み事があるなら、お姉さんが聞いてあげましょうか?」
「えっ」
セシリアはきょとんとした表情で、自分の前の席に腰掛け向かい合う楯無に、ほうけた眼差しを向ける。
さてここで悩みを打ち明けてよいのか。確かに学友への心配に、好奇心もあるが、人間誰しも他人に知られたくない秘密があるもの。自分だってプライベートを探られるのは、いくら気心の知れた友といえど拒否感が沸く。
…ひとまず、適当にごまかしておこう。
行動方針を固めたセシリアは、楯無に作り笑いを見せつける。
「いえ、結構ですわ。そのお気持ちだけで充分うれしいです」
「あらら。お姉さんに隠し事なんてムダだぞ♪」
「うぐっ」
パチリとウィンクする楯無。まんまと図星をつかれたセシリアは、言葉につまってしまった。
このずば抜けた洞察力は流石である。

(……どうしましょう)
早々と追い込まれたセシリアは、ついに考え込む。
ここまでくるともはや言い訳は無理だ。下手に取り繕ったところで見破れるのがオチだし、そもそもこういうごまかしは得意でない。
やはり素直に打ち明けた方が無難か。
あれこれ思い悩むセシリアをうかがうように、楯無はしばらく観察に徹する。
――かと思いきや。
(……?)
突如耳に、コトンと乾いた音が入ってくる。
つられてセシリアが机を見ると、そこには緑色の小さな缶が置かれていた。
ジュース。そこらの自動販売機にでも売られている、極一般的なメロン味の缶ジュースだ。

「なんですの、これは?」 
「さっき買ったやつ。飲みなさい」
そう言うと、楯無は自分の分の缶ジュースを片手に、椅子の背に体重を預けた。
「これでも私は生徒会長なの。可愛い後輩の面倒を見るのも大切な仕事。次の授業まで時間もあることだし、相談ならいくらでも請け負うわよ?」
「会長……」
楯無の真剣な瞳に、セシリアは感銘を受ける。
相手がこんなにも気遣ってくれているというのに、無下にするのはいただけない。何かと世話になっている先輩に失礼を働いてはオルコット家の名折れというもの。
そうしてセシリアが己を恥じている間、楯無は缶ジュースを飲みながら悠々とくつろいでいた。
……まあちょうどいい。喉が乾いていたことだし、せっかくもらったことだし、水分補給を終えてから改めて相談を申し込もう。
セシリアは楯無からもらった缶のフタを開けると、さっそく口をつける。
甘い。甘くて、濃厚なメロンの味が口内を潤していく。液体は喉をも潤し、頭がくらくらするほどの癒しを与えた。
だが、妙に甘すぎるのは気のせいか?

「さて、セシリアさん。もう一度確認するけど……何か悩みはない?」
缶を机に戻し、楯無は重ねて質問した。
セシリアは軽く頷き、彼女を正面から見据える。
「実は箒さんのことで、」
刹那。
セシリアの視界がゆがんだ。目の前の楯無も、周囲にたむろしているクラスメイトも、教室の風景も全部ぐにゃりとぶれる。まるで地震でもおこったかのように足元が激しくぐらつき。それに伴いセシリアの体にとてつもない倦怠感と、多大な睡眠欲がふりかかってきた。
(これは――――まさ、か――――)
かすむ視界。薄れる意識。
ブラックアウトする直前。セシリアが見たのは薄ら笑いを浮かべる楯無の顔だった。




「はいはーい、騒がない騒がない。みんな落ち着いて」
英国代表候補生であり、クラスの顔役的存在でもあるセシリア。その彼女が突然倒れてしまい、周囲は女子たちの軽いパニックに包まれる。
が、喧騒がさらに拡大する前に、IS学園生徒会長による鶴の一声で一気に沈静化した。
「彼女なら私がちゃんと保健室までつれていってあげるから。だから、安心してちょうだい」
「か、会長。セシリアさん大丈夫なんですか?」
一番近くにいた女子生徒が不安げにささやく。
楯無は「ふふっ」と不適に一笑するやいなや、意識を失いって机上に崩れ落ちたセシリアを、軽々と抱き上げた。
「大丈夫、眠っているだけよ。たぶんただの寝不足でしょ。…ま、この分じゃ今日は早退になるかもだけど」
クラスの混乱を収束させつつ、セシリアを抱え教室からさっさと出ていく楯無。
その足取りはやたらと軽やかであった。


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