青山さんと白峰さん 2
正直、澄香の言うとおりだ。
あたしだって得意じゃない。できればサボりたいさ、全部。
「リカっていつも辛いとか、憂鬱そうな顔しないからさ、すごいなって思って」
「なるようになると思えばいいんだよ。別に何が出来ないからって死ぬわけじゃないんだから」
「そうだね」
澄香はそう言うとふっと少し笑顔をつくって見せた。
そうだ、笑え。笑ったほうがもっと可愛いんだ、わが親友よ。
…午後の授業はあっという間に終わり放課後。
「リカ」
「ん、何?」
「リカの家行っていいかなぁ」
「行くも何もお隣なんだから…いつでもいいじゃん」
「へへっ、ありがと」
悪戯っぽく笑う澄香。
まったく、こういう顔も可愛いんだから。
…帰宅。
あたしはキッチンに向かい、冷蔵庫から…
「リカ、あれ作ってよー」
「もう夏だよ?暑くない?」
「夏でもあったかい飲み物は飲めないわけじゃない。それに、リカの作るあれ、芸術的だもん」
「もう、褒めても何にもでないよ?」
「マスター、お願いしまーす」
「もう、調子いいんだから」
澄香の言う『あれ』『芸術的』ってのは、あたしが作るラテアートのこと。
もともとはカフェを開いた伯父さんから教えてもらったものだ。
澄香には照れ隠ししたが、実は自分でも結構な出来だと思ってたりする。
親友にああ言われた手前、作ってやらねば。
あたしは準備に取り掛かる。
「じゃあ今度は澄香に特製パスタでも作ってもらおうかな」
「うんうん、好きなだけ作っちゃう作っちゃう」
…現金なやつだ。そこが堪らなく可愛いんだけども。
あ、ちなみに澄香特製パスタ、これがかなり美味しいんだよね。
それこそお店でもやれそう…はちょっと言い過ぎかなぁ。
…調子のいいやつ、だなんて思ってるけど、お互い持ちつ持たれつ、だからこそ今まで親友として続いてるんだなぁって思うんだよね。