青と白の間で 8
そのとき、突然、青山さんのカバンから携帯の着信音が。
このタイミングでお母さんから連絡が来ちゃったかな。
…参ったな。
青山さん…どころか、上に重なっている莉花も目を覚ますことはない。
ごめんなさい、青山さんのお母さん。
携帯はしばらくした後鳴り止んだ。
さて、この状況、どうしようか。
「う〜ん…うぅ〜ん…」
唸り声が上がる。どっちだ。
「う〜〜〜〜〜」
サイレンかよ…どうやら青山さんのほうだ。
莉花が上に覆いかぶさっているからな…重かろう。
(目が覚めたら思いっきりぶっ飛ばされそうですな)
青山さんが苦しそうなので莉花を別の場所へ寝かせよう、僕はそう思ってソファーに近づく。
「おーい、莉花、起きろよ」
「ん〜」
この唸っているのは青山さんだ。莉花は相変わらず無反応。目下爆睡中。
「仕方ないな」
莉花の身体を無理矢理持ち上げ、別の場所へと動かす。
「う、うぅん…?」
青山さんが目を覚ました。
「水沢くん…?」
「気がついた?大丈夫?」
「うん…何か頭がボーっとしちゃって意識がなくなっちゃって。そしたら急に身体が重くなって」
「莉花が圧し掛かって寝てたよ」
「そうなんだ…」
相変わらず熟睡中の莉花を見ながら
「ビックリしちゃった」
さっきの光景を振り返る青山さん。
「ごめんな…さっきの飲み物、アルコール入ってたかもしれない」
「ええー」
なんともいえない表情。
…それがまた可愛いんだけど。
「でも、それよりも、白峰さんが、ね」
青山さんがまだ熟睡中の莉花を見て、照れ笑いする。
「ああ、コイツはね、そーいう奴なんだ…」