月野うさぎとプリンスデマンド 76
ボヌール「ええ。単刀直入に言います、ルナさん、城へいらっしゃいませんか?」
「「「「えっ!?」」」」
ボヌール「デマンド様がルナさんを引き取りたいと仰せです」
美奈子「ルナを?」
ボヌール「はい。うさぎさんに話し相手が必要だとお考えになられたみたいです」
笑みを貼り付けたまま、淡々と話すボヌール
ボヌール「ルナさんがイヤでしたら、断って頂いて構いません」
ルナ「(城へ行けば、うさぎちゃんと一緒にいられる、毎日うさぎちゃんに会える………!)」
まこと「あの、どうしてルナだけ? あたしたちも一緒では駄目ですか?」
美奈子「そーよそーよ! あたしたちだって」
ボヌール「申し訳ごさいませんが、今回はルナさんだけを命じられました。それに、皆さんには普通の生活を送ってほしい。とうさぎさんが申しておりました」
レイ「………うさぎっ」
うさぎは兼ねてより、普通の女の子としての暮らしを求めていた
セーラー戦士たちにも、普通の女の子として暮らしてほしいと願っていた
結果的に、うさぎはデマンドと結婚してセーラームーンに変身することはなくなった
それは4人のセーラー戦士たちも同じである
レイ「そう一番望んでたのは、うさぎじゃないっっ」
いつも元気いっぱいだった
どんな時だって笑顔を絶やさずにいた
それが、どんなに救いになっていたか、失って気付いた
ルナ「……レイちゃん。そんなに自分を責めないで。うさぎちゃんは皆のことが大好きだったから……自らデマンドの手を取ったのよ」
レイ「そんなことっ、言われなくても分かってるわよっ……」
「「「「……………」」」」
亜美「あの、ボヌールさん。うさぎちゃんはお城ではどうですか?」
ボヌール「実はうさぎさんにお会いして、2ヶ月なんです。あまり詳しくは存じ上げなくて」
美奈子「2ヶ月!? なんで!?」
ボヌール「うさぎさんは難産で一時は生死を彷徨っておられたそうです。回復なされてからもデマンド様が身を案じて部屋から出されませんでした」
その言葉にショックを受けるセーラー戦士4人とルナ
まこと「そんな……死にかけたなんて…」
美奈子「…………! それじゃあ、うさぎちゃんが仮死状態にされたって言ってたのは………!!」
思ってもみなかった可能性が出てきた
ボヌール「申し訳ごさいませんが、その辺りは私も何も存じ上げてはおりません」
ボヌールはデマンドの側近中の側近
その彼が何も知らないとは、考え難い
仮に、そうだとしたら、うさぎは出産後まで部屋からさえ出してもらえなかったという事になる
レイ「………!(妖気) 悪霊退散!!」
妖気がする方へ御札を投げ付ける
誰かの顔に貼り付き、驚きのあまりか、その女性は転んでしまった
ボヌール「大丈夫ですかプリンセス!」
ボヌールは慌てて駆け寄る
一緒に訪れたと思われる男性の手を借りて立ち上がる
立ち上がった女性が
「ちょっとレイちゃん!酷いじゃない!!」
思い掛けない相手の登場に固まるセーラー戦士たち
レイ「…………………うさぎっ!」
「「「「うさぎちゃん……!!」」」」
うさぎ「みんな!」
セーラー戦士たちは走ってうさぎの元へ
グイッ!
デマンドはうさぎの腰を引き寄せ、誰にも渡さないといわんばかりに、うさぎを自らの腕の中に閉じ込めた
「デマンド、大丈夫だから………離して?」
うさぎはデマンドの瞳を見つめて、そう告げる
「……………」
真剣に語りかけて来そうなうさぎの瞳を見て、デマンドはゆっくりと腕をほどく
「……ありがと」