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宮野志保≠シェリー
官能リレー小説 - 二次創作

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宮野志保≠シェリー 9

「哀れを通り越してただ無様なだけだな、ロゼ。お前もこの世に生を宿してからずっと組織の一員だったのなら、我々の恐ろしさは知っている筈だろう。何故、組織を裏切った?」
どうやら彼女のコードネームは『ロゼ』と言うようだった。
そのコードネームには聞き覚えがあった。直接会った事はその時が初めてだったが、彼女も私と同じ科学者で、姉の友人だった。
しかし恐怖に支配されていた私はその事に気付く余裕すらなく、ただ彼女の姿を凝視している。
彼女の姿が自分と重なって見えて、あまりの恐怖に目が離せなかったのだ。
叫び疲れたのかぐったりと肩で息をし呼吸の荒い彼女は、彼の質問に答える事はなかった。
彼は彼で、別に答えは必要なかったらしく冷笑を浮かべると彼女に背を向ける。
それが合図だったかのようにその瞬間、周りにいた男達が彼女に群がり白い肌を緋色に汚したその身体を乱暴に愛撫し、次々と繋がり果てて行く。
彼女は既に弱り切っていて、その叫びも先ほどの空気を割るような声ではなくなっていた。
それでも必死で私を見て、助けを乞う。その目は大きく見開いていて、既に人間の血相ではなかった。
私は遂に目を逸らした。
次第に彼女の声が聞こえなくなり私は恐る恐る顔を上げる。
彼女は目を見開いたまま息をしていなかった。既に事切れていたのだ。
その――生前人間の女性だった『物』となってしまった彼女に彼が再び歩み寄ると、こめかみに一発弾を発砲する。
彼女の頭部が一度びくんと跳ね上がり血と肉片が飛び散ったが、それだけだった。
彼が半分かけたその頭部から生えている赤黒く固まった髪の毛を掴むと、彼女を引きずって私に迫って来た。
私は身体をがたがたと震わせながら逃げようとしたが、あまりの恐怖に自由に身体を動かす事ができない。
そんな私を彼はあっさりと捕まえると、私の首根っこを掴み彼女の顔を見せ付けて来る。
青白く血の気のないその肌に赤黒い血液が流れ落ちている。正気のないその瞳が、一番私をぞっとさせた。彼女は本当に死亡したのだと妙に実感した。
彼は彼女を端へ投げ捨てるように放り出すと、恐怖で混乱している私の目前に自らの顔を近付けた。
真っ赤に染まった掌で私の頬を撫で下ろし、先ほど、彼女に向けていたのと同じような冷酷な笑みを浮かべて、耳元で囁いた。
「ロゼのようになりなくなければ……裏切るなよ、シェリー」
――シェリー。
彼の私の名前を呼ぶ声が脳裏に響き渡る。頭が真っ白になり私は気を失った。

目が覚めた時私は自室のベッドにいた。
私が先ほど身に付けていた衣服は脱がされ代わりにガウンを着ている。髪の毛は湿っていて顔は血で汚れていなかった。
どうやら私はシャワーを済ませた後のようだった。恐らく彼がしてくれたのだろう。
私の身体は石鹸の香りに混じり彼の煙草の匂いがほのかに香っていた。
彼が暫く私を抱きしめていた証拠だ。

このように彼が私に優しさを見せる事が度々あった。
疑いようもなく私は彼にとって特別な愛人だった。

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