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宮野志保≠シェリー
官能リレー小説 - 二次創作

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宮野志保≠シェリー 1

例え貴方が私の罪を笑い飛ばしたとしても
この罪の意識は消えないから

願いは一つだけ

貴方を
彼女の元へ――



黒の組織を破滅へ追いやってから約半年が経ったその日、江戸川コナンはある少女に用件も伝えられぬまま唐突に呼び出されていた。
毛利探偵事務所から馴れ親しんだ阿笠邸までの道程をいかにも面倒臭げに歩く彼の姿は小学一年の少年には如何しても見えない。
当たり前だ、彼は大人なのだ。――頭の中は。

その日の事は今でも神妙に覚えている。奴らの手によってこの姿に変えられたあの日、彼は自由を失った。
まあそれでも、大切な人々の存在が自分の目前から消える事は無かったのだが。
それでもやはり小学生の身体とは彼の大好きな事件を解決するには不便な物で、早く、とにかく早く元の姿に戻りたいと願望するのが日々日常だった。

足が阿笠邸の門前で止まる。馴れ親しんだ道とはいかに時間が早いか思い知らされる。
コナンは少し背伸びをしてインタンホンに触れた。
お馴染みの音が響いたので、中からの反応を伺う。――無反応。怪訝に思いながらコナンは阿笠邸へ足を運び入れる。鍵は開いていた。
「博士ー、灰原ー、いないのかー?」
玄関に立ち止まり呼び掛けるが、やはり反応は返って来ない。
コナンは段々苛立って来た。客を呼び出しておきながら、鍵も掛けずに何処へ行ったのやら。
軽く溜息を付き家内で待っていようと何気なく、視線を足元に落とす。
見慣れた小さな靴が、目に飛び込んだ。
「なんだ、あいつ、いんじゃねーかよ」
コナンがそうぼやいて玄関に腰を下ろした時、背後から規則正しい小さな足音が聞こえて来る。
彼は背後に振り向いた。足音の持ち主は、彼女しかいない。
「あら、なんて顔しているの?」
灰原哀。自分と同じ小学生の少女だ。
しかし本来の姿は――言うまでも無いだろう。
怪訝顔をするコナンを哀はクスリと不適に微笑している。
「バーロー。笑い事じゃねーだろ」
「あら、どうして?」
哀が踵を返す素振りを見せたので、慌ててコナンは靴を脱ぎ捨て彼女の後に続く。
「おかしいだろ?いきなり呼び出し掛けといて全く反応しねーし、お前にまた何かあったんじゃねーかって心配するだろ。組織の連中だって、まだ残ってる奴がいる訳だし」
「その割には随分と呑気そうだったけど?」
「……んと、可愛くねーよな」
毒付くコナンに哀は不適な笑みを強くする。
リビングに入ると、彼女はコナンをソファーに待たせ紅茶を作りにキッチンへ入る。
その間コナンは、読み掛けの推理小説を取出し暇を弄ぶ。
読書に浸り集中する彼の目前のテーブルに、暫くしてコトンと哀が入れた紅茶が置かれた。
それに気付き向かいのソファーに腰掛ける彼女に振り向く。
「なあ、博士は?」
紅茶に上品に口付けていた哀がコナンに視線だけを向ける。
「学会に出掛けたわよ。新作の発表ですって」
「まーた。どうせ採用されないんだ、いい加減諦めろよな」
「……良いじゃない。夢に向かって行くのは良い事だわ」

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