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宮野志保≠シェリー
官能リレー小説 - 二次創作

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宮野志保≠シェリー 3

「蘭……もう、何処にも行かないから」
「うん、新一」
新一は彼女を引き寄せようとその肩に手を延ばす。
その瞬間、彼等の横を亜麻色の髪色のランドセルを背負った少女が素通りする。
言うまでもなく、哀だ。
「哀ちゃん、お早う!」
蘭が元気の良い声で哀に手を振った。
「お早う御座います」
哀が一度ゆっくりと振り返り、そう言って小さな会釈をするとまた歩いて行ってしまう。
途中彼女がほんの刹那自分を見た事を彼は見逃さなかった。
小学生の少女には不似合いな位様になっている上品な歩き方の哀の、その背中を見送る。
新一は薬が完成してから元の姿に戻るまでを思い出していた。

解毒剤が完成しておきながら直ぐに戻らなかったのは、色々と準備が必要だったからだ。
表向きの転校手続き、引っ越しの準備等である。
その作業が終了しても、アメリカで暮らすと言う設定をした為阿笠低では少年探偵団の面々が、毛利探偵事務所では蘭やその父親、そして蘭の親友の鈴木園子等が華やかなお別れ会をしてくれる事になり予定より日時が過ぎてしまった。
そして二日前、待ちに待った自分の身体に戻る事が出来のだった。
ふと戻る直前の哀との会話を思い出す。
コナンだった新一はその時全裸体でベッドに横になっていた(勿論布団は掛けてある)。
その横では哀が相変わらずの無表情で準備に取り掛かっている。
コナンは哀の手元を見詰めながら何気なく思った事を口にする。
「なあ、灰原……お前は、元に戻んねーのか?」
哀が一瞬だけちらりと目線を向け、直ぐに戻した。
「どうして?」
「だって、不便だろ?」
「……別に」
それで一度会話が終わる。
腕を組んで頭部下に置き、幼いながら整った綺麗な顔立ちを眺めた。
その時ふと、哀が悲しそうな微笑を作り、コナンは目を見張った。
灰原って、意外と可愛いな……。
哀愁を漂わせた彼女の横顔を疑問がるよりも、脳裏に浮かんだのは、その皮肉混じりな言葉と自嘲的な笑みで今まで気にした事はなかったが、彼女は可愛らしいと言う事だった。
そう言えば転入した頃、確かにその愛狂しい顔立ちは生徒の注目の的であった。
その事から本来の彼女がどれ程美しい女性だったか見当が付く。
暫し見惚れていたコナンに、それに気付いた哀が普段通り不適な笑みを作ると口を開く。
「呑気な物ね。私みたいな女にも見惚れる程、元の身体に戻れるのが嬉しいのかしら?」
いつもの皮肉混じりな物言いだった。

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