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宮野志保≠シェリー
官能リレー小説 - 二次創作

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宮野志保≠シェリー 12

組織の手で殺されるよりはずっとマシだと思えたからだ。

私はAPTXIN4869を飲み干した。


そして現在の私がある。

私は閉じていた目を開けるとソファーから立ち上がり地下の部屋に入る。
パソコンの横にあるケースを開け完成したAPTXIN4869の解毒剤を取り出し目の前に翳してみた。
それを眺めながら工藤君が元の姿に戻る直前の彼との会話を思い出す。
私が元に戻り幸せになる事が姉の願いだと主張する彼の言い分が間違っていない事は、私にも理解できていた。
何人もの人生を狂わせた私に幸せになる権利があるとは思わない。
しかし私は既に『宮野志保』に戻る決意を固めていた。
罪を侵した『彼女』に戻り償う事が私の義務だと感じたからだ。

私は翌日、居候させてくれている博士に戻る事を伝え少年探偵団の彼らに別れを告げると、解毒剤を飲み干した。

悶え苦しむ私が愈々本来の姿を取り戻して一番始めに見た物は、不適な微笑を浮かべる彼によく似た白い影だった。



毛利蘭との電話を切った後、一人自宅で暇を弄んでいた工藤新一が異変に気付いたのは工藤邸の隣の阿笠邸のバルコニーに見慣れた白いシルエットが浮かんでいるのを目撃した時だった。
「あれは……キッドか!?」

怪盗KID。
通り名が『平成のルパン』で数々の有名財閥から宝石を大胆に盗んでは警察も手に負えない今世紀最強の大怪盗だ。
その素性は一切不明で至る所に出没しては騒ぎを起こすも、警察は勿論の事東の名探偵と称される自分すら彼を捕まる事は出来なかった。
そして意外な事にこの白い怪盗は――自分や灰原哀、西の名探偵と称される服部平次と共に組織破滅のカーニバルを実行した一人でもある。

組織破滅以来、表に姿を現さなかったキッドをこんな所で目撃すると思わなかった新一は酷く動揺する。
何故阿笠邸のバルコニーに奴がいるのか。
阿笠博士や哀がとんでもない宝石を隠し持っているとは思えないし、キッドがやって来る理由が思い付かない。
幾ら考えを巡らせても答えを見出だす事はできなかった。
新一はキッドの元へ行き確かめようと踵を返そうとした。
しかし――キッドが僅かに身体を移動させたその向こう側に、色白で華奢な身体付きの見知らぬ女性がいる事に気が付く。
新一は再びバルコニーに釘付けになった。
バスローブに身を包んだ彼女の美しい顔立ちを見つめていると、一つの真実に辿り着いた。
「……灰原?」
しかしわかっていることは…… 
真実はいつも一つ!

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