デーモン シード 14
「他国の策略なのか、単に研究環境に魅せられて血迷ったのか、まだ判明しておりません。速やかに真相を究明し、対応を行う所存です」
やり取りを聞いていた商務長官が天を仰いでいる。
国土安全保障省長官は、あまりの事に蒼白になりながらも、事態の悪化をどう抑止するか、本土などに及んだ時の事を考え込んでいる。
「ええい!とにかくだ!君達は原因と犯人を最優先で突き止めたまえ!!」
「「勿論です!!」」
大統領は最初はぼやくような口調だったが、最後は怒鳴るような物言いになっていた。
閣僚たちにもFBI長官やCIA長官に、刺すような視線を向ける者もいる。
内心で「何てことをしでかしてくれたんだ」と非難の気持ちが渦巻いているのだろう。
気迫に飲まれたようにFBI長官とCIA長官が答え、すぐさま長官専用の端末から自分の部下達に指示を出し始めた。
その様子を横目に、大統領は今度は制服組トップの統合参謀本部議長に問いかけた。
「ところで、軍はあれを必ず処分できるのだろうな?」
「艦隊と調査部隊を送ったのですが……調査部隊の男性隊員は全員連絡が取れなくなり、また女性隊員は生存しているものの…」
統合参謀本部議長は沈痛な表情を深め、躊躇いがちに答えた。
「デーモン・シードに凌辱された模様です。また、非常に間の悪いことですが、見学に訪れていた日本の中学生たちが取り残されています」
「女性隊員は凌辱され、しかも子供たちが取り残されているだと?!」
「はい……しかも、男性隊員は搾りつくされた遺体が見つかっています。女性隊員は凌辱だけで、生存はしていますが……」