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官能リレー小説 - 同性愛♂

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tokubetsu 9

その容姿に救われ、エスコートクラブの扉の前で彼の腰に腕を回した時、江口はそれほどに抵抗心は湧かずにすんだ。

伊藤医師は一瞬身を固くしたものの、それを抗うことはなかった。
「やっぱり、そうですよね・・ボーイしかいないエスコートクラブに男2人が潜入する訳ですから・・」
はにかむ笑顔が仄かに赤らんでいた。

「演技とはいえ、伊藤さんにはホント申し訳ないです・・」
回した手の平に、汗が滲んだ。

「江口さん、そんな何度も謝らないでくだい。この扉を入ったら僕らは同性愛者なんですから・・」

同性愛者・・・
伊藤医師その言葉に戸惑いを感じながらも、普段よりも高鳴る心臓音を彼に気づかれやしないかと、江口は気が気ではなかった。


「伊藤様、江口様、お待ちしておりました・・」
厚い扉を開けると、黒服の男が笑顔を見せた。
それは営業用の作られたものだと分かってはいたが、男からこんな笑顔を送られたことのない江口はドキリとしながらも悪い気はしなかった。

「やはり緊張しますね・・」
黒服の背に続き、毛足の長い絨毯の通路を歩きながら伊藤医師が呟くように言う。
「初めてのお客様は皆そうです。ここは完全に個室となっておりますので、ホールでの接待とお思いだった方は戸惑うようで・・」
伊藤医師の小さな声を聞き逃すことなく、黒服は答えた。

「ボーイを選んでから外出するんですか?」
江口は案内された小部屋のソファーに身を沈めながら黒服に訪ねた。
「はい。外出されるか、別にあります寝室をお使いになるかのどちらかになります。もちろんこの部屋で3人で楽しんでいただいても構いません。」
「あ、はい・・」
思ってもいなかった"3人で"という言葉に、江口は妙に戸惑いを感じた。

3Pの経験など、女とも無かった。
学生時代、合宿時には決まってそういう女たちを呼んで、乱交騒ぎをする輩はいたのだが、江口はそれに参加することを躊躇った。
男として、決して興味が無い訳でもなかったのだが、どこか欲望のままだけに"性"を楽しむ行為に疑問を感じてしまうのだ。
故に今まで、江口は女の身体を金で買ったことも無かった。
交わる相手は常に一般女性であり、それも知り合ってから数カ月は過ぎてからの事だった。

「3人でよくてよかったです。ボーイと2人にされたらどうしようかと思いましたよ。」
黒服が置いていったファイルを開きながら、伊藤医師は安堵したように言う。

確かにそれはそうなのだが、自分たちの目的は藤原一馬に龍之介のことを伝える為であって、ここでボーイ相手に如何わしい行為に耽るつもりなど毛頭ないのだが・・
江口は喉まで出かかったその思いを伊藤医師に伝えようとした時、スクラップブックの見開きいっぱいに展開された一馬の姿を見て、絶句してしまった。

「す、凄いですな…」
声を上擦らせる伊藤の横で、江口は思わず眉を顰めてしまう…
男の、しかも龍之介の兄の裸体など、見たくはなかったというのが本音だった。

「この店で見る為だけに作られたものだから、修正など必要ないって訳ですかね?…」
江口の口調は明らかに嫌悪感が現れていた。

「それにしても、ナンバー1の割に特別にデカイって訳でも無いんですね…」
伊藤の言葉に思わず一馬のソコを見てしまう…

平均的なサイズ…13…14cmといったところか?
それは自分と何ら変わることはなかった。

「至って普通の若者…確かにイケメンですけど、ノン気としか見えない好青年…それがいいんでしょうね…」
伊藤医師は、患者を視るような目で藤原一馬の裸体を見詰めていた。


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