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LEON SAGA(レオン・サーガ)
官能リレー小説 - 同性愛♂

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LEON SAGA(レオン・サーガ) 2


「みんな、来てくれたか」
そこに村長が現れた。
「それじゃあレオン、私もう行くわね。家に帰ってママの手伝いをしなくちゃ・・・」
そう言うとカレンは走り去った。
「あれ?カレンさん、村長さんの家に用事があったんじゃあ・・・?」
「レオン〜、鈍いなぁ、お前〜」
「察してやれよ〜」
男達はニヤニヤ笑いながらレオンを茶化した。
「あ・・・!」
そこまで言われて鈍いレオンもようやく気付き、困ったようにポリポリと頭をかいた。

村長は村の男達を前にして言った。
「皆、聞いてくれ!今年ももうすぐ台風の季節がやって来る。去年は堤防が決壊して農作物に酷い被害が出た。今年はそんな事にならないように堤防の強化工事を行いたいと思う!」
「おう、去年はえらい目に遭ったからな!」
「まったくだ・・・」
「工事に賛成!」
口々に言う男達。村長はレオンに言った。
「レオン、君は知らないだろうがそういう訳なんだ。君も村の一員として力を貸してくれるな」
「もちろんですよ!村長さん」


「堤防の工事か・・・そうだ!良い事を思い付いたぞ」
少し離れた場所から皆の話し合いを見ていたアローは何かを思い付いたようにニヤリと笑った。
「良い事って何だ?」
子分の一人が尋ねる。
「あの野郎を村から追い出す作戦さ。良いか?良く聞け」
アローは子分達に耳打ちした。

翌日から村の男達総出で堤防の工事が始まった。春から夏に移り変わろうとしている時期・・・外で働くには一番気持ちいい頃だ。アローと子分達は目立たないように上手にサボっていたが、レオンは誰よりも一生懸命働いた。
「レオン、少し休んだらどうだ?お前今日まだ休憩取って無いだろう」
村人の一人がレオンに話しかける。
「ありがとうございます、でもまだ平気ですよ!」
「そんなに頑張ってたらすぐバテちまうぜ?」
「大丈夫ですよ!」
レオンにはある想いがあった。
(この村の人達は素性も良く分からない俺を暖かく受け入れてくれたんだ。みんなに対する恩返しと思えばこれぐらい・・・)


昼になると村の女達がパンとミルクを持って堤防にやって来た。
「レオン!はい、ど〜ぞ」
カレンはレオンに特大のパンを差し出す。
「あ・・・ありがとう、カレンさん」
少し困った顔でそれを受け取るレオン。
「ぐぬぬぬぬぬぬ・・!!!」
「アロー!落ち着けって・・・・」
そしてその後方では今にもレオンに飛び掛かろうとするアローと必死に取り押さえる子分達(レオンとカレンは気付いていない)・・・そんな光景が毎日の昼の定番となっていた。

そして工事も完成に近付いたある日。
「よ〜し!今日の作業はここまで!あと少しで完成だ!みんな明日も頑張ろうじゃないか!」
「「「おぉ〜〜〜〜!!!!!」」」
現場監督役の村長の言葉に男達は元気よく叫ぶ。なぜかアローと子分達の姿が見えなかったが誰も気付かなかった。


「あれ?レオン、どこ行くんだい?」
皆が家に向かって歩いていく中、一人だけ堤防の方へ歩いていくレオンに村人の一人が気付いて尋ねた。
「はい、ちょっと気になった所があったんですよ。盛り土の中に水が染み込んで弱くなってた部分があったでしょう」
「そこならさっき一応みんなで補強しておいたから大丈夫じゃないか?」
別の村人が言う。
「でも心配なんです。今夜あたり荒れそうですし・・・」
レオンは空を見上げて言った。
「何言ってるんだ?こんなに良い天気じゃないか」
村人達はキョトンとした顔で首を傾げた。彼らには分からないだろうが、レオンは大気の湿気や風向きなどの微妙な変化から今後の天候を予測したのだった。だが、いちいちそれを説明するのは面倒だった。
「最後に確認だけして帰りますよ!お疲れ様です!」
そう言いながら去っていくレオンの背を見ながら村人は話し合う。
「本当にバカ真面目なヤツだなぁ・・・」
「でもいいヤツじゃないか」


その頃、アローと子分達は工事現場に残って堤防に何か細工をしていた。
「なあ、アロー・・・本当に良いのかな、こんな事して・・・?」
子分の一人が作業しながら恐る恐るアローに尋ねた。
「はあ?お前、怖じ気づいたのか?」
「いや、いくらレオンのヤツを追い出すためだからって・・・何もここまでする必要あるか?」
もう一人の子分も言う。
「だいたい、確かにレオンは少し生意気ではあるかも知れないが、何も村を追い出さなくても・・・」
「バカヤローッ!!お前らいつからアイツの仲間になった!?あんな得体の知れないヨソ者を村に置いておいて、それが原因で何か悪い事が起きたらどうする気だ!?いや、起きるに決まってる!あんなヤツは早く村から追い出した方が良いんだ!そのためにはこれぐらいやらないとダメなんだよ!」
「でもよぉ・・・わざと堤防を決壊させて、それをレオンのせいにするなんて・・・」
また別の気の弱そうな子分が震えながら言った。
彼らの計画は、わざと堤を切らせて畑を水浸しにし、それを「レオンが堤防に細工していたのを見た」と口裏を合わせてレオンの立場を悪くし、村に居られないようにしようという卑劣な物だった。

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