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謎の部族
官能リレー小説 - 同性愛♂

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謎の部族 1

事態が良く飲み込めなかった。
気が付いたら、ジャングルの様な所に迷い込んでいたのだ。荷物はなにも無い。携帯電話すらも無かった。
それ以前の事はどうも頭がぼんやりして思い出せない、自分の名すらも少しあやふやだ。
だが、どこか別の場所からここに迷い込んだという事だけははっきり分かる。
とりあえず、暑い。耐えられないほどではないが。
幸い水は豊富だった。そこらに湧き水の様な物があるのでそれで水分補給が出来た。

不思議と恐怖や焦りは感じなかった。妙に落ち着いた気持ちで足を進める。

どのくらい歩いたのだろうか?
汗が身体に纏わり付き、シャツを腰に巻きつけ、タンクトップだけとなる。
涼し気な音に誘われ、滝流れる湧泉に辿り着いても、誰とも会うことは無かった。

…事故にでも合って記憶を無くしたのだろうか?
俺にはその記憶すら無かった。
それでも、それならば身体の何処かに傷の一つでもあるかもしれない?
痛みはないが、切り傷ぐらいならそれも感じないか?
確かめるべくタンクトップを脱ぎ捨て、ベルトの金具に手を掛ける。

ジッパーを開くと、汗は下着にまで染み渡っていた。
汗と混じり合う独特な男の臭いに眉を顰め、張り付くそれをもどかしく剥ぎ取る。

俺は全裸になり、どこかに傷がないかと自分の身体を確認した。

しかし、目立った傷は無い。それどころか古傷すらも無かった。
安心はしたが、逆に気味が悪くなってきた。体はまともなのに記憶だけがすっぽりと抜けるなんており得るのだろうか。
それにしても自分はどこかの傭兵みたいな逞しい体をしているな…、妙な思いが頭をよぎる。
自身の身体に見惚れる自分に苦笑しつつも、汗に塗れた身体は冷水を求めていた。
外気とは雲泥の差のあるそれに身を縮めながらも、思った以上に透明度の高い水中に身を沈める。
無くした記憶など忘れ、俺は指先がふやけるまで泳ぎ回った。
水面から出ると、脱いだ衣服が見当たらなかった。
シャツもズボンも、あの汗で臭う下着までもが無くなっていた。
誰かいるのか?…
その思いに羞恥が生まれ、俺は慌てて両手で股間を覆った。

周囲を警戒するが、全くと言っていいほど気配が無かった。
大体誰かに服を盗まれたのならその時に気付いた筈だ。いくら水浴びに夢中になっていたとはいえ。
なにかがおかしい。
服には身元を示す物は無かった、それに金目の物も。
それでも盗むという事は、よほど記憶を取り戻してほしくないのだろうか?
こんなコソコソした工作をするくらいなら直接殺しに来ればいいのではないだろうか…。
どういうわけか襲撃者を返り討ちに出来る自信はあった。

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