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ストーユ大陸
官能リレー小説 - 同性愛♂

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ストーユ大陸 1

ストーユ大陸を治めるボングン王国…の、辺境の土地ダコスタ地方。そこで少しは名の知られた冒険者ヴェベルは、心底疲弊した声でため息をつく。
動きを重視した軽鎧の下からは、隠す気など到底ない分厚い筋肉が汗と魔物の返り血に艶めきながら露出している。
腰には使い込まれた大振りな剣が差してあり一見すると力任せに戦うタイプの戦士のような出で立ちなのだが、彼はれっきとした魔法剣士だ。
炎や氷といった様々な属性を操ることができるという才能がありながらも、彼はあえて剣術の道を選んだ変わり種だった。
しかし、その腕は確かであり「彼がこの世界に生まれた時には既に剣を握っていた」とすら言われている。
そんな彼でも、さすがに今回の依頼ばかりは嫌気がさしていた。
依頼の内容はこうである。
とあるダンジョンの最奥にある宝箱の中に封印されている、魔道具を回収せよ。
それだけ聞けばなんとも簡単な依頼だ。
だが問題はその後にあった。
その魔道具というのがどうにも曰く付きらしく、噂では呪いがかけられているだとか魔王を復活させる鍵になっているだとか眉唾ものの噂が流れている。なので報酬もそれなりに高額ではあったが危険度に見合っていないということで誰も受けたがらなかったのだ。
もちろん、彼も最初は断ったのだが、ギルドマスターからどうしてもと言われてしまい渋々引き下がったのだった。
そうして今に至るわけであるが…。
「やっぱり受けなければ良かったぜ…」
ぼそりと呟く彼の目の前には、禍々しい雰囲気を放つ宝箱があった。
これこそ件の魔道具の入れられた宝箱に違いない。
彼はそれを睨みつけるようにして観察する。
見た目だけならどこにでもある普通の宝箱にしか見えないが、それが逆に不気味さを醸し出しているように感じられた。
中にあったもの、それは真っ黒な宝石のようなものがついた聖杯だった。
一目見ただけで分かるほど強い魔力を感じるそれこそが、今回彼が回収しなければならない魔道具らしい。
ヴェべルはしばらく迷った末、覚悟を決めてそれを手に取った。
「こんなもん触りたくねえんだがなぁ…」

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