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怪しげなリング
官能リレー小説 - 同性愛♂

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怪しげなリング 2

アーウェルが散乱した物に気をとられて足を止めた。
元々得たいの知れないリングなど盗まれてもよかったのだ。なのでアーウェルは追跡よりも彼から落ちたものを拾うことを優先した。
そのおかげでマルジオは時間を稼ぐことができた。
マルジオは待機していた馬車に飛び乗る。馬車はすぐに走り出す。
馬車の中には同じような男達が居た。その中には幼馴染みのジェラルドの姿もあった。
彼もマルジオと同じくあまりいい生活は出来ていない。
「なんだ、お前も金で依頼されたのか」
「そうだよ」
ジェラルドの話から判断できるのは「あちこちに散らばったリングを盗んで集めてこい」という依頼らしい。
ジェラルドも同じリングを盗んできていた。ただし、リングのあった場所は宝石店だったらしい。
「よく盗めたなぁ、何人かは捕まったんじゃないのか」
「いや、そうはならなかったよ。見ての通りこのリングは、宝石の無い古いものさ。磨いて宝石を据えるつもりだったのか、それともアンティークとして売るつもりだったかは分からない。」
ジェラルドは指先でリングを弄び、マルジオに見せつけるようにして語った。
「だけど店の奥の加工室にあるって話だったからね。売り上げを銀行に預けに行った隙に、店員を足止めしてもらって忍び込んで盗ったのさ……」
一見みすぼらしい格好だったが、彼の一挙手一投足には目を引く優雅さがあった。
別に金や名誉を持つ家の出ではなかった。けれどもその浮世離れした有様が、マルジオの心に暗い思いを湧き起こすのだ。
「ジェラルドみたいな凄い男が埋もれているなんて…」
マルジオは彼の運の悪さに悲しくなってくる。
ジェラルドは不運の連続だった。悲惨としか言い様の無い家庭で育ち、ようやく安定してきた生活もすぐに壊れてしまった。

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