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怪しげなリング
官能リレー小説 - 同性愛♂

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怪しげなリング 1

「エージー骨董店」 

120年の終わりから、細々と続く老舗の骨董店である。

その奥で、夏も盛りなのにエージー骨董店の1人息子のアーウェルは店番をしていた。

(俺だってダンジョン探索に出たかったのに…虚しいな)

アーウェルはため息をつきながら、客のいない店内でカリカリと書類の山と格闘していた。

その時、高く積み上げられた在庫の山にリングが引っ掛かっているのが目に入った。

(なんだ、これ!?)
夏中、店番していたのに初めて目にしたリングだった。

(こんなリングあったかな)

怪訝な顔をして、アーウェルはリングを手に取った。
精巧な装飾と、古い年代を感じさせるリングで裏に古代文字のような文字で何かが書いてある。

(読めないな。何なんだろう?)
指にはめるリングにしては大きすぎる。形も変だ。
「指にはめる物じゃなさそうだし…首輪にしては小さすぎる」
アーウェルはリングをくるくると回しながら考える。
だが、何がなんだかさっぱりわからない。
そんなことをしているうちに積み重なった書類が目についたので、また元の作業を再開することにした。
作業も終わりに近づいてきた頃、何者かが店の中に侵入をしていた。特別広い店ではないのだが、作業に集中していたアーウェルはそれに気づいていなかった。

その人物は机の上に置かれたリングを見つけると、一直線にそれを目指した。

マルジオという体の分厚い男は、体格に似合わぬ素早さでリングを掴んだ。
予想以上に盗みが簡単だったのでマルジオは少し拍子抜けをした。彼は盗みに慣れた盗賊ではない、貧乏な冒険者だ。
「どうして俺がこんな事をするはめに…」
マルジオはリングを片手に店を飛び出す。かなり遅れてアーウェルがそれを追いかける。
マルジオは走りながら盗んだリングの確認をする。
「古そうには見えるが、価値のあるものには思えないが…」
走りながら確認すれば、バラバラと私物を落としてしまうのも当然だった。マルジオの全財産が入ったボロい袋や小型ナイフ、それから様々な手紙が地面に転がった。
マルジオはそれに気づいて顔が真っ青になったが止まるわけにはいかなかった。散乱する小銭をあきらめてまた走り出す。

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