Girls,be ambitious. 6
「信じるか、信じないのか?」
今度は俺がだんまりする番だ。
…信じるか、信じないかーーー。
ってか、信じるしかないだろ。
あの夢の事は誰にも話してないから、青海川が俺から直接聞かない限り知る術はない。
それをヤツは知っていた。
…って事はだ。
これはまさに説明のつかない不思議な出来事になる!?
むしろ、もっともらしい論理的説明をつけられても逆に怪しいだろ。
「信じる…。」
俺は呟くようにボソッと答えた。
フッー
安心したような、疲れたようなため息を吐き、青海川は初めて真っ正面から俺を見た。
不覚にも俺はドキっとしてしまった。
悔しいけど、やっぱ良い男だ。
―
そのまま二人は見つめ合っていた。
それが何秒だったか何分間だったのかわからない。
息をするのも忘れかけていた。
「………っ」
そんな状況にだんだん恥ずかしさが込み上げてきた。
この沈黙をどうにか、どうにか打破したい。
「‥…で!?信じる!信じる、けど!それが一体なんだっていうんだよ……っ」
恥ずかしさから顔を下に向けながらも精一杯大きな声で叫んだ。
「……」
あいつは答えず黙ったまま。
(まじでなんなんだよ…もう帰りたい…隙を見計らって走って逃げようかな…)
(でも追いかけられたら一瞬で捕獲されそうだ)
「俺は」
頭の中でぐるぐる考えを廻らせていると、
青海川が口を開いた。
「え?」
「ここに転校してくる何ヶ月も前から篠崎、お前の事を知っていた」
「知ってた…って…俺達どっかで会ってたっけ…?」
「いや、会ってはいない」
「え…」
ますます頭がグルグルしてきた。
知ってるけど会ってはいない……って、もしかして俺のストーカーさん?
いつもあなたの後ろ姿を見てました、ってか?