集団痴漢 22
1人の男が近づいて言った。
「終わったぜ、…今日のところはな」
大介達の怯えた顔、そして液体まみれの身体を次々と男達の携帯フラッシュが襲う。
「お前等みたいな最高の玩具を一回で使い捨てるなんて勿体無いじゃん。…また遊ぼうぜ」
淳と大介の恐怖の表情が男を掻き立てた。
「拒否してもいいけど…男に掘られて感じてイっちまった君らの写真…学校や家族にばらまいてやるよ」
男達は不敵に笑い出した。
「お前等の携帯番号もゲットしたし、今日のところはこれまでって事で」
「また今度な」
「気を付けて帰れよ、こわーいお兄さん達がいるかも」
そう吐き捨てながら男達は次々にトイレを後にした。
…残されたのは2人の少年。ドロドロになった体を起こせず、まだ床に倒れたままだった。
絶望的な表情の2人だが、やっと回復してきた思考の中で思うのはお互いの事だった。
(淳は…以前からこんな目にあってたのか…)
(大介…俺のせいで巻き込んじゃった…)
しかし2人は言葉にする事は無く、ゆっくりと体を持ち上げた。そして体に付いた物を拭き上げ、服を身につけた。
帰り道。
二人は一言も口をきく事なく、家への帰路についた。
唯一、話したのは別れる時に「俺、こっちだから」という大介に「うん」と淳が返事を返した時だけ。
二人共、頭の中にあるのは同じ筈だったが、どうしても考えたくないのか言葉に出来なかった。
淳は混雑していない電車の中で自分の視界がぼやけていくのを感じた。
大介にまで被害がいくとは思っていなかっただけに辛くなったのだ。
そして、次の日からの事を思うとどうしようもなく不安で堪らなくなった。
一方の大介も家に帰る道を歩きながら、沈んだ顔をしていた。
一歩一歩歩く度に疼きと痛みを伴うそれに、自分が大事な何かを奪われたのだと実感していたのだ。
(淳もこんな気持ちだったのかな)
憂鬱な顔をしていた時の淳を思い出し、淳の心の傷を思った。
こんなんじゃ友達失格だと、大介は携帯を取り出して淳に電話した。
5、6回コールした後に、淳は電話に出てくれた。
『だ……いすけ?』
戸惑うような声は酷く怯えているかのようだ。
「明日、学校行く……だろ?」
『………うん』
「そしたら俺も……一緒に行くから」
『えっ……?!』
驚いた声。
だけど、決めたから。
「朝、お前の所の駅のホームに待ち合わせな」
『大介っ……でも』
焦る淳が言いたい事は解ってた気がしたけど、気にしないで約束した。
(淳を守る事は出来なくても一人に辛さを味合わせたくない)
一方的とも言える感じで大介は明日の待ち合わせの時間を告げて電話を切ってしまった。
怖くない訳じゃなかったが、それでも大介は淳を一人にしておけなかったのである。
そうして次の日、大介は約束したホームにいた。