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妖怪の居る森
官能リレー小説 - 時代物

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妖怪の居る森 2

山賊達が彼女を見上げながら口々に言う。
「あ、ああ…」
「そうだ、俺達の仲間だ」
「こいつも仲間だぜ」
山賊達の褌は外れかけていた。
彼等は彼女の妖艶さに魅せられ、無意識に褌を緩めていたのだ。
彼女はニヤリと笑う。
その笑顔は野性味溢れる美しさがあった。
山賊の一人が唾を飲み込みながら尋ねる。
「お、お前さんは何者だい?」
「私かい?私はね…狼さ」
そう言って、狼女は犬歯を剥き出しにして笑った。
「ひょっとしてあの噂の妖怪か!」
「でも、狼の耳や尻尾がないぞ」
山賊達は困惑した。
狼のような耳や尾はない。しかし、それ以外の特徴は噂通りである。
彼女がその妖怪なら、捕まえれば一攫千金どころではない。
だが、この大女は素直に捕まってくれるだろうか?山賊達はどうすべきか迷った。
本来なら奇襲をするはずだった。だが、もう彼女は目の前に居て話しかけてきている。
しかも、右手には仲間が掴まれている。下手に動けば仲間がやられかねない。どうすればいいか決めかねている間に、事態は次の展開を迎えた。
「ほうら」

大女が、片手でぶら下げていた山賊を仲間に放って寄こした。
仲間たちは、意外な成り行きに驚きながらも彼を受け止める。

「大丈夫か?」
「どういうつもりだ?」
「てめえ、こいつに何をした?」
「人質を自分から手放すなら丁度いい、刀の錆になりやがれ」

山賊の一人が不可解な行動に首をひねる。仲間を受け止めた連中が介抱しようとし、別の何人かは、武器を構えていた。
「お、おい!お前ら妖怪は生け捕りにするんじゃなかったのか!」
山賊の一人が慌てて叫ぶ。
相手は巨大とはいえ、武器も手にしていない女だ。その一人だけは躊躇していた。
「で、でもよぅ…片手で男を持ち上げるようなの対応できませんぜ」
武器を構えた連中もちゃんと考えていたようだ。
彼らが手にしているのは刀や槍ではなく、鉄棒や鎖分銅、大木槌、それに投網。

「多少傷つけるのはやむを得ねぇ!さっさと捕まえちまうぞ!」
「おお!!」

頭の号令で、身構えていた連中が一気に襲い掛かる。

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