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今日からお殿様!?
官能リレー小説 - 時代物

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今日からお殿様!? 2

実際和馬も剣道場に通うなどして、鍛えているのだが、見切りの精確さと動きの速さで道場の門下生の中でも実力が頭一つ飛び抜けているにも関わらず。力と体力に劣り、その結果勝てるハズの試合を落として幾度も悔しい思いをしているのだ。
「父上・・・お呼びと伺ったのですが、何用なのでしょうか?」
「ああ失礼しました和馬様・・・お呼びしたのは、源馬殿では無く私なのです」
和馬の質問に客人が答える。
「申し遅れました・・・わたくし当藩の家老を務めております牧村と申します」
「!?・・・し!!失礼いたしましたご家老様!!ご無礼をお許し下さい!!」
和馬の家は、この秋吉田藩の藩士で、一応上士の端に引っ掛かる位の家だが、当然家老とは立場が違う。和馬は青くなって平伏す。
「いえいえお気遣い無く・・・」
(な!?何でご家老が、家に居るんだ!?)

訳が分からず和馬はパニックに成る。だが、本当の衝撃はここからだった。
「さて和馬様・・・心を落ち着けて良くお聞き下さい・・・あなた様のお父上は源馬殿では有りません・・・あなた様の本当のお父上は、この秋吉田藩の藩主である重和公なのです。そして今日この時よりあなた様が、この秋吉田藩二十五万石の藩主と成るのです!!」
「え?・・・・えええええええええええええええええええEEEE!!!!!?????」

「ち・・・父上!!これって一体!?」
「うむ・・・殿本日より私を父と呼んで下さいますな・・・。時には辛く当たった事も在りましたが、なにとぞご了承下さい」
顎が外れんバカリに驚愕する和馬に、遂先ほどまで父と疑った事など無い人物が静かに話を始める。
「先ほどご家老が仰った通り、あなた様は我が息子にあらず。畏れ多くも先代藩主である重和公に我が子としてして育てよと命じられ、お育てした。紛れも無い重和公のご子息なのです」
源馬の話を要約するとこういう事だった。
何でも和馬の母は、江戸屋敷で藩主に仕える侍女で、まだ藩主に成る前の重和公に寵愛され、二人の間には子供も生まれていた。
しかし、重和公が正式に秋吉田藩の藩主に決まると同時に、将軍家から娘を嫁にするという話が持ち上がった。
将軍家から正妻を貰う以上和馬の母や和馬の存在は、邪魔でしか無い。
そこで和馬は、当時重和公の教育係で子供が無かった源馬に下げ渡され、源馬の子として育てる事に成ったのだ。
(なるほど・・・そういう事か・・・)
事情を理解した和馬は、少しだけ落ち着く。しかし、同時に疑問が湧いてきた。
「それで如何して僕が藩主に成る事に成ったんですか?」
「ハイ・・・これはまだ極秘なのですが、先日重和公が病でお亡くなりに成りまして・・・知っての通り、重和公には和馬様以外にお子は無く。ご兄弟もいらっしゃりません・・・このままでは我が秋吉田藩は、公儀に潰されてしまいます・・・お願いいたします和馬様!!どうぞ我が藩の藩主に成って下さいませ!!」
そう言うと家老は両手を畳に付け跪いた。
和馬は事態の余りの急変に只々呆然としていた。
(父上が父上じゃ無くて、ホントの父親が、藩主の重和公で、父親が死んじまったから、今日から僕が藩主だと!?いったい全体どうなってんだ?)
大体の事情は分かったが、ただ一つ抜けている事が有った。
「最後に一つだけ聴かせて下さい・・・ボクの本当の母親は誰なのです?母上なのですか?」
「いいえ残念ながら和馬様のお母上は既に亡くなっております。源馬殿の奥方様は、和馬様の乳母殿であります・・・」
「なるほど・・・」
つまり春菜は和馬の妹ではなく乳兄弟だったということだ。
「和馬様ご決断を」
家老は和馬に決断を促す。しばしの沈黙の後和馬は決断する。
「・・・はい・・・分かりました・・・秋吉田藩主の座に就かせていただきます」
その言葉を聞いた家老は、喜びの笑みを浮かべ、今一度和馬に向かって両手を畳に付け跪いた。
「あ!・・・ありがとうございます和馬様!!」

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