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倭国大戦記
官能リレー小説 - 時代物

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倭国大戦記 7

「惜しかったな。良い太刀筋だった。相手が俺でなければ一刀の下に斬り伏せられていただろう」
「お…俺の負けだ…殺せ」
アキツヒコは剣を捨てて言った。
「そんな…!!ダメです!アキツヒコ様ぁ!!」
カグラが泣きながらアキツヒコに駆け寄る。彼女は衣服の乱れを直す事も忘れ、平伏してスサノオに訴えた。
「お願いいたします!どうかアキツヒコ様の命をお助けくださいませ!」
「止めろ、カグラ…俺は敗れたんだ…恥をかかせないでくれ…」
だが、スサノオは太刀を鞘に収めるとニッと笑って言った。
「安心しろ小娘。誰が可愛い我が子を殺すものか」
「「はあ…?」」
アキツヒコとカグラは揃って首を傾げた。頭の中は疑問符でいっぱいだ。
「さっぱり解らんという顔をしているな。良いだろう、聞かせてやろうアキツヒコよ。お前の出生の秘密をな…」
「しゅ…出生の秘密だと?まさか、俺が本当は父上と母上との間に産まれた子ではなく、母上とお前との間に出来た不義の子だとでも言うんじゃないだろうな…?」
「何だ…先に言うなよ」
「う…嘘だろ!?」
スサノオは話し始めた。
「そうだなぁ…“不義の子”と言ってはお前の母が哀れだ。あれは仕方の無い事だったのだ…。あの時は俺もまだ若かったしな…」
「い…一体何があったんだ…!?」
「うむ。端的に言えば、俺がお前の母…アキツヒメを犯して孕ませて、それで産まれたのがお前だ」
とても重要な事柄を別に大した事でもないという風に、さもあっさりと言い放つスサノオ。
「…それは…俺の国を滅ぼした時か…?」
「そうだ。俺は姉貴の命令で軍を率い、お前の父とされているアキツヒコ王の率いる軍を破った。俺達はお前達の国を占領し、若い男は全て奴隷にし、若い女は全て兵達が犯し、年寄りは皆殺しにした」
「……」
「俺は宮殿に乗り込み、アキツヒコ王の后アキツヒメを探した。お前の母は当時、近隣の国々の間でも評判の美人だったんだぞ。音に聞こえし美女を是非とも抱いてみたいと思ってな…」
スサノオは一息つき、さらに続けた。
「そして奥の間で侍女達に囲まれながら、護られるようにして震えていたお前の母を見つけ…後はお前も男なら分かるな?」
「…信じられん…全く信じられん!」
アキツヒコは叫んだ。
「そもそも俺はいつも母上に“国が滅ぼされた時、私は大きな腹を抱えて山中を逃げ延びたのだ”と言い聞かされてきた…。つまり国が落ちた時、母上は宮殿には居なかったんだ。そしてその時点で母上は産み月を控えた身重の体だった…。分かるか?お前の話は全てお前の作り話だろう。そうでなければお前が犯したというのは、おそらく身代わりの侍女か誰かだ。お前が犯した美女は臨月の妊婦だったか?」
アキツヒコはスサノオを論破したつもりだった。しかし、スサノオは平然とした態度で言った。
「そうか…だがお前の母が作り話をしているかも知れんだろう」
「馬鹿な…母上はそんな嘘をつけるようなお方ではない」
「いや、女というのはお前が考えているほど浅くはないぞ。もしくは俺に犯されて孕んだという事実を受け入れたくないがゆえに偽の記憶を作り出し、自分でもそれを信じておるのやも知れん…」
「そ…そんな…」
アキツヒコは自信が無くなってきた。
「何を信じるかはお前の自由だ。俺の方が間違っているのかも知れんしな。だが俺はお前を見ていると何となく自分と通ずる物を感じる。お前が何と言おうと俺はお前を息子と決めた。お前は俺に負けた。だからお前の命はもう俺の物だ。その点に異存は無いな?」
「ああ…それは仕方が無い。お前に従う」
アキツヒコが渋々従うとスサノオは喜んで彼の両肩に手を置いて言った。
「そう来なくっちゃあいかん!俺には娘はいるんだが息子が居なかったから、ずっと欲しかったんだ。お前が力を貸してくれれば成し遂げられそうな気がするぞ!」
「成し遂げる?…一体何をするんだ?」
「フフン…聞いて腰抜かすなよ?」
スサノオは悪巧みをする幼い子供のような嬉々とした様でアキツヒコに言った。
「…姉貴を倒して邪馬台国を乗っ取るのだ!」
「ば…馬鹿か、お前!?」
アキツヒコは驚き呆れた。
「わ…悪い冗談ですよねぇ?」
それまで黙っていたカグラが恐る恐る尋ねる。するとスサノオは真顔で訊き返した。
「笑えたか?」
「…いいえ」
カグラはフルフルと首を横に振る。アキツヒコは考えていた。
(…このままこのスサノオに協力して女王ヒミコを討ち、その後で隙を見てスサノオを討てば…おぉ!我らの(主に母上の)悲願だったヤマタイ国打倒が成就するじゃないか!そうすればユミヒコとも晴れて夫婦(めおと)になれるぞ!三種の神器とかもうどうでも良いや!とにかくこれは願っても無いチャンスだ!)
以上のような結論に至ったアキツヒコはコホン…と咳払いしてスサノオに言った。
「あ〜、スサノオさん。その計画、協力させてもらうよ」
「ア…アキツヒコ様!?冗談ですよねぇ!?」
「笑えた?」
「…いいえ」
一方、スサノオは大喜び。アキツヒコを抱き上げて叫んだ。
「おぉ!さすがは我が息子!お前の力添えを得られた事は俺にとって百人の兵(この時代では大兵力)を得たにも等しい!共に姉貴を倒し、ヤマタイ国を我等が手中に収めようではないか!」

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