引きこもりショタ生活 4
「何、どうしたの? 今のひと言でここがめちゃくちゃ濡れたよ。」
真が志保の股間を指先でぬぐって、それを見せつけた。
「やめて…」志保は手で顔をおおった。真はささやきかけた。
『お姉ちゃん…僕…お姉ちゃんが…好きなんだよ…』
あの声だ。志保の頭の中には、今そこにいるのがあのアニメの少年だとしか思えなかった。
「お姉ちゃんが…好きなんだよ… お姉ちゃんが…好きなんだよ…」
その言葉がぐるぐると頭を何度もめぐるうちに、志保の意識は遠くなってしまった。
…気がつくと志保は、自分のベッドに眠っていた。
「あれは、夢だったのかな…」
しかし、起き上がって壁を見たとき、そこに貼られた一枚のメモが志保を現実にひき戻した。
「ここまで運んだけど お前重過ぎるよ!」
× ×
それから数日後、ベッドの上でぼんやりしていた志保の耳に、けたたましい着信音が響いた。
「『公衆』だって。誰かしら。」
「もしもし、志保さん…ボク、『ジュン』です」
それは聞きおぼえのある、懐かしい声だった。
「ジュ…ジュンなの? どうしたの?」
「志保さん… ボク、いま、おチ●チンいじめられてるの。
助けて…助けてよ。」
「どこ、どこにいるの?」
「恐竜公園の…すべり台のところ。」
電話は切れてしまった。志保は急いで手近にあった服をひっかけると、サンダルをはいて近所の「恐竜公園」に走っていった。
すべり台のそばには二人の男の子がいた。
ひとりは知らない子で、もう一人は…真だった。
「ジュンは…ジュンはどこにいるの?」
二人は顔を見合わせて笑った。男の子が言った。
「お姉さん、『ジュン』って誰なの?」
志保はわれにかえった。そうだった。「ジュン」は幼いころに夢中で見たアニメの登場人物なのだ。そしてこの男の子は「ジュン」に似せた声で志保に電話をかけてきただけなのだ。
真が言った。
「この前姉ちゃんの部屋に入った時に、姉ちゃんのアニメ趣味を色々研究させてもらったんだ。それで『ジュン』の声が出せる友達で姉ちゃんが呼び出せるか試してみたんだ。」
「ボクはヒカリっていうんだ。真くんとは同級生。」
「引きこもりの姉ちゃんが、ここまで走ってくるんだから、『ジュン』の力も、『ジュン』になりすましたヒカリの力もたいしたもんだよ。」
ヒカリは志保の顔を見つめて言った。
「でもボク、こんなお姉さん好きだな。」
真は半笑いになった。
「何言ってるんだい。こんな引きこもりのオタク女がいいのか?」
「だって、ピュアだもん。」そう言うとヒカリは、またジュンの声になって志保に話しかけた。
「志保姉ちゃん…ありがとう。」それを聞いた志保は、ふらふらと近くのベンチに寄りかかった。ヒカリは続けて言った。
「志保姉ちゃん…おっぱいさわって、いい?」志保は何も言わなかったが、ヒカリはスッと手を伸ばし、志保の胸をつまんだ
どうやら一撃で乳首をつまんだようだ。志保はヒカリの手に自分の両手を添えて目を閉じた。
「この女、おっぱいだけは良質だぜ。」
真は半笑いを続けながら言った。そんな真にヒカリはそっと耳打ちした。
「これは、使えるぜ。」
だが乳首の快感に酔っている志保に、その声は届いていなかった。
×
志保の部屋は、次第におかしな事になってきた。アニメが好きな男の子が毎日のように入り込んで来るようになった。
志保の持つ過去の「珍品アニメ」のDVDを鑑賞していく子や、自分で描いたアニメの「絵コンテ」を見せて、感想を求める子など、志保の部屋はさながら「サロン」のようであった。
しかしこの影には真とヒカリがいた。クラスのオタク男子どもに、「真のお姉さんはアニメの話し相手を求めている。気にいってもらえれば童貞を卒業させてくれる。」と話し、志保との「面会の予約」を受け付ていたのだ。
もっとも、志保の方はあまり悪い気はしていなかった。オタク男子とはいえ、まだ瞳がキラキラしている「男の子」といながらにして次々会える毎日は、そこそこ楽しかったのだ。