ショタなペット【第一部】 77
ガチャ
「和己君、ちょっと良いかな?」
優花は和己の部屋の戸を開け声を掛ける。
「……あれ?和己君?電気点けるよ。」
パチッ
「えぇっ?和己君?」
和己がベッドに居ないのを見て優花は驚愕する。
「……何処に行っちゃったんだろう?」
優花は落ち着こうと深呼吸をする。
「ええと……勝手に外には出られないわけだから……もしかしてお姉ちゃんの仕業?」
優花は戸を閉め、風花の部屋へ行こうとした。すると、
「あれ?優花?」
「お姉ちゃん?」
「優花、如何したの?」
「ちょっと寝られなくて。お姉ちゃんは?」
「夜中に目が覚めて……何だか物足りなくて……」
「「和己君の部屋に来た」」
二人の声が重なる。
「でもお姉ちゃん、和己君は部屋に居ないわよ?」
「え?じゃあママの部屋かしら?」
「多分そうね。」
「じゃあ行ってみる?」
「とか言って実はお姉ちゃんが連れて行ったんじゃないわよね?」
「私が拉致った後にここへ来るわけないでしょう?」
風花はやや語気を荒げた。
「そうなるとやっぱりママね。」
「優花もそう思う?」
「ええ。」
しかし、風花は複雑だった。和己は優花を気に入っているし、優花も和己を人として好きになっている。優花と一緒に香奈の部屋へ行くのは果たして得策なのだろうか?
「お姉ちゃん、行くわよ。」
「え?ええ。」
優花に促がされ、風花も行くことにした。
「全く……夕飯の時に一言行ってくれればよかったのに…そしたら私だって和己君の部屋には来なかったのに……」
優花は収まらない様子だ。
「そうね。確かに私も来なかったわ。でもいざ来ちゃうと我慢が効かないのよね。」
風花も同調した。
「もう寝てるかしら?」
風花が言うと、
「寝てても起こすわよ。」
と優花は答えた。風花は頷いた。
「じゃあ開けるわ。」
「ええ。」
優花は香奈の部屋の戸を開いた。
「ええええ?」
「な…嘘ぉ?」
風花と優花は腰を抜かさんばかりに驚いた。香奈と美雪の間に和己が寝ていたのだ。