ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 427
まあ確かに…他のメイドちゃんたちと比べると、雪ちゃんにはあまり会っていないかもしれない。
それこそ一度、和彦さんと呑んだ後にお風呂に入って、背中を流してもらったぐらいしか。
「あの時雪ちゃんが背中流してくれたよね」
「覚えててくれたんですね、嬉しいです。でも、あの時もあまりお話は出来なかったので」
「あの時は、よく知りもしない女の子に裸見られて…恥ずかしかったよ…」
「そんなぁ…恥ずかしいことなんてありませんよ…匠さんの裸は素敵でしたよ…」
「すっぅ素敵ぃ?!…;そんな…お世辞言っても何も出ないぜぇ…」
僕は照れながら顔を赤らめた…
「本当ですって…もっと力を持ったところ…ちゃんと見たかったですよ…」
微笑む雪ちゃん。
…他の子より年上で経験豊富なせいか、やっぱり大人っぽい感じで、ちょっとドキッとする。
「匠さんみたいな彼氏…とはいかないまでも、匠さんのような兄が欲しかったなぁ、って思いましたよ」
「それはどうも;…」
いろんな経験をしているからなのか、僕にとっての雪ちゃんは、妹というより姉貴としか思えなかったりするんだけどね…
見た目だって、僕とは違って随分と落ち着いているしな…
啓くんが甘えてしまう気持ちが、なんだかよく分かっちゃうよね…
「お嬢様のお子さん、楽しみですね」
「ああ、そうだね」
話は変わったが、雪ちゃんは相変わらず笑顔だ。
「男の子ですか?女の子ですか?」
「それはまだわからないな…今度診てもらうときにわかるのかな」
「結婚して、子供も生まれたら、どうされます?ここにお住まいになるとか、話はいろいろありますけど」
「まだ何も決まってないんだよね…香澄にも相談しなきゃって思って」