ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 314
…さて
青山家やメイド仲間に別れの挨拶をするという純ちゃんと別れ、僕は荷物を持って正門から出た。
…確かに、この門からあんな湖があるとは考えにくいな。
家に帰る。
「お帰り。スーツあったの?」
「ああ、このとおり」
お袋に帰るなり聞かれたので、手に持った荷物の塊を見せ付けた。
「流石、伊藤さんだはね。きっと高価なブランド物じゃないかしら?…」
袋の中身を漁るお袋…
やっぱそういうとこ、おばさんですよね;…
「あらやだぁ、コレって男もんなの?…」
純ちゃんも驚いたあのパンツを掲げ、お袋は目を丸くした…
「…らしいよ。伊藤さんから持ってけって押しきられちゃって」
「だろうねぇ、アンタが自分から選ぶわけないもんねぇ」
驚きながらもそのパンツを広げるお袋。
…そういうモノもあの会社で作っていて、僕がこれからそこに関わることは、まだ言わない方が良いかな…
「啓くんだったら似合いそうじゃない?プレゼントしちゃいえば?」
はい…アイツはそれが故に、モデルにスカウトされたんですからね。
てか、伊藤さんから貰ったもんを息子の啓くんにあげる訳にはいかないでしょ;
「お袋はもういいからぁさぁー。そのパンツは僕の友達にでもやるからよお!」
お袋の手からパンツを取り上げたものの、こんなパンツ…もってるだけでも妙な誤解を受けそうだよな…;
…妹たちが帰ってくるまでに隠しておかねば。
奴らが見たら何言い出すかわからん。
荷物を持って2階の部屋へ。
一つ一つ取り出しクローゼットの中へとしまい込む。
…ホントにこれ、どうしようかね。
そう思いながら、僕はクローゼットの奥の方にそれらを突っ込んだ。