ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 1080
皆がアイツのことを悪く言うほど、僕の中では同情的感情が芽生えてきてしまう…
たまたま相手が僕のお袋だったと言うだけで、ヤッてることは僕と大して変わらないのかもしれないし…
「枕営業してるスケベ社員って会社に密告して…クビにしてもらっちゃう?…」
おいおい;葉月ちゃん…そこまですることはないよ;…
「ちょっとそれは言い過ぎ」
美月さんにも窘められた。
葉月ちゃんも酔いが回ってきたのかタメ口になってるし。
「まあちょっと彼とは距離を置いてみましょう」
「それでどうするんですか?」
「彼が本当に反省してるのか、様子を見てみるのよ」
「はあ……」
自分が言いだしたこととは言え、それもちょっと可愛そうな気もしてしまう;…
「出来れば皆さんは…今まで通りに普通に接してくれませんかね…アイツはアイツなりの言い分もあると思うんですよね…」
「あらぁ匠くんはそれでいいの…?」
「いいって訳じゃないけど…皆のお陰で、アイツとは腰を据えてちゃんと話しをしないといけないと思いました…」
「それもそう、だね。外野の私たちがいろいろ言っても余計に問題を拡大するだけよね」
「奴にもビシッと言って置かないと匠さんの家庭が崩壊しかねないですからね」
「いや、それはさすがに…」
美月さん、沙織ちゃん、葉月ちゃん、みんなその表情は優しかった。
「それじゃあそういうことにして乾杯しましょ!…スズタとのお祝いまだですもんねぇ」
そうか…美月さんや葉月ちゃんとは昨日、一昨日と飲んだけど、沙織ちゃんとはまだだったもんね…
「ふふ…今日は女3人もいるから、匠くんも酔い潰れても大丈夫よ…」
美月さん;…僕の場合“潰れる”…というよりも、記憶を無くすって感じなんですけど;…