マンガ家理恵先生とアシの晋一くん 50
薄いゴムを隔てて己の欲望を吐き出す。
きつく抱き合いながら白い世界へ落ちていった。
「ぁあ……はあ、はあ、はぁ、はぁ……」
*
「お水、飲みますか?」
「ん、ありがとう」
理恵は差し出された500mlのペットボトルをベッドに寝転がりながら受け取る。
咽にながれる冷たい水は体を潤してくれる様で心地よかった。
飲みかけのペットボトルを晋一に渡すと、彼もそれで咽を潤した。
「晋一くん、明日授業はあるの?」
シーツに包まりながら、ベッドの縁に腰掛ける晋一を見上げる。
「えーと確かないですね」
「そっか」
「どうしたんですか?」
「ん〜〜?」
チラリと目線を送るが、理恵の口は開かない。
「あの、よかったら」
「はい」
「良かったらで良いんだけど……」
「はい、なんですか」
「今日泊まっていかない?」
シーツを顎まで引き上げ、小さな声で呟いた。
理恵の恥じらいが伝染したようで、晋一まで顔を赤くする。
「あ、はい、喜んで……」
「そっか、それだけ……」
シーツの隙間から理恵の嬉しそうな笑顔が覗いた。
淫らに求めると思えば、お泊まりのおねだりに恥じらったり、女心はわからないなと思いつつも晋一はそれすら魅力に感じていた。
小さく丸まる理恵の隣に寝転び、布越しに抱きしめた。
温かな体温が伝わり、晋一は目を閉じる。
理恵も彼の柔らかな温度に包まれ、静かに身を任せた。
「あ、そう言えば今日大学の友達に先生の事聞かれました」
「本当に?なんで?」
「つ、つき合ったって言ったらものすごい食いつかれて」
あはは、と笑ってみせるが声色からして照れている事が伝わる。
「ふふ、つき合ってるかぁ」
「なっ、なんで笑うんですか?」
「いやぁ、なんだか私まで照れちゃって」
本当は晋一の初めての女性になれた事に何よりの喜びを感じていたが、それは秘密にしておこうと思った。
「それで、なんて紹介してくれたの?」
上目遣いに晋一を見上げる。
「言わなきゃだめですか?」
「うん、だめ」
「どうしても」
「うん、聞きたいの」
困った顔の晋一はひとつ咳払いをし、続けた。
「えっと……綺麗で料理がうまくて、仕事では尊敬してるって答えました」
「私そんなに出来る女じゃない」