僕の夏詩-七夕の奇跡- 14
ドカッン!
何やらアタシのドアに何かがあたった。
「!まさか!キラト!?」
「帰ったんじゃなかったの?」
僕は、知ってしまった。
本当はこの世にはもういない存在だった。
でも、ツバキが天女との契約で生き返った替わりにツバキが、ツバキが、!
「っく!ツバキっ、ツバキっ、何で?」
神社を走り抜ける時に姫が腕を掴んだ。
「放せ!何で何でツバキが、何で僕を……」
「キラト!話を聞いて」
「うるさい!ツバキがいなくなっ」
パシン!
姫の平手が頬に当たる
「いい加減にして!ツバキが、どんな気持ちでアナタを生き返らしたとおもってんの!」
「……………」
そしてツバキが、現れた。
「…キラト…ゴメンね…辛かったよね…アタシが勝手なことしてゴメンね。ゴメン………っ、キラトおぉ」
泣きじゃくった表情でフラフラしながら僕を優しく抱き締めてくれた。
それは忘れもしないぐらいに温かく安心する感覚にツバキを喪いたくない気持ちがこみ上げてくる。
「…………ツバキ、やっぱりイヤだよ。逝かないで」
「………キラト…バカね。男が泣きじゃくってどうすんの?………本当に小さい時から世話がやくわね。フフっ」
でも、もう時間みたい。
……………姫。キラトを、キラトを、お願い。
任せたわよ。
女同士の約束よ。
姫は泣きじゃくって叫んだ
「「ツバキいぃぃぃぃぃぃ!」」
キラキラと美しく夏の夜空に舞い上がったツバキの光
僕はツバキを抱き締めたままの体勢で号泣した。
キラト 大好き
そう耳元で聞こえた。
数十年後
とある朝
目を開けると、清々しい日射しが入り込む。
パタパタパタパタっ……
誰かが部屋に入ってきた。
「「くおぉらぁ、朝だぞ!だあぁ起きろ!」」
身体の上にのし掛かる。
くっ、苦しい。
「……ねぇ、あの話が聞きたいな!」
「何の話?」
「パパとママが結婚した話が聞きたいなぁ」
そう、言われて、話を始めた。
完